9日のフランス代表との2連戦の2戦目は、来年のラグビーワールドカップへチーム強化を図る日本にとって今夏の「リポビタンDチャレンジカップ2022」テストシリーズ4連戦の最終戦となる。

日本代表キャプテンの坂手淳史選手は、8日の試合会場での練習の後に「すごく大事な一戦。勝てる、自分たちのラグビーを落とし込んできた。しっかり結果として出せるようにしたい」と語った。

 日本は2日の第1戦では、前半は善戦して13-13で折り返したが後半失速。相手に引き離されて23-48で敗れ、その試合の反省として坂手選手はノックオンなどミスの多さを指摘した。

その上で、相手のミス鋭く反応して一気にスコアに結び付けたフランスを「一瞬の集中力はすごく高い」とする分析を示し、「そこに関しても今週一週間で落とし込んでいる」と語った。追加招集など選手の入れ替わりもあるが、日本代表キャプテンは「チームは一貫性を持ってやれている」と話して影響を否定した。

今回、新しく建て替えられた国立競技場での日本代表初のテストマッチでもあり、入場券販売はすでに5万枚以上を記録。2019年ワールドカップ日本大会以来の大観衆の前での試合が見込まれている。

坂手選手は、「日本で、国立競技場でやるのは特別。たくさんの方が来てくれる。そのなかで自分たちのラグビーを見せることはすごく大事な経験になる」と語った。

 

チームに高さ

 第2戦に臨む日本代表の試合メンバーは、先週末の第1戦の先発からロック、NO8、スクラムハーフに変更を施した。

第1戦にリザーブで出場した若手期待のLOワーナー・ディアンズ選手を4番、6月25日のウルグアイ代表戦で初キャップを獲得したLOサナイラ・ワクァ選手を5番に配した。

「小さい頃から世界一のロックになるという目標がある」というディアンズ選手は、今回が代表4戦目。身長201センチで、身長202センチのワクァ選手と共にチームに高さという新たな一面を加える。

20歳のディアンズ選手は、「自分のやるべきことに集中して、いいパフォーマンスを出せるようにしたい」と静かに語った。

NO8にはジャック・コーネルセン選手を起用。豊田でのフランスとの第1戦にNO8で先発してトライも決めたテビタ・タタフ選手はSH茂野海人選手とともにリザーブにまわり、9番には齊藤直人選手が2試合ぶりに復帰。第1戦から引き続いて10番を務める21歳の李承信選手とペアを組む。

ジェイミー・ジョセフ日本代表ヘッドコーチは、「李選手は第1戦でいい試合をした。若手で伸び盛り。経験は多くないがポテンシャルがある」と期待を寄せた。

齊藤選手は、今回リザーブに入ったHO堀江翔太選手とともに新型コロナウィルス陽性と判定されてチームから隔離されていたが、「S&Cコーチと連絡を取りながら、最終戦へ向けてホテルの部屋でトレーニングしていた。ゲームコントロールしてチームに勢いを持たせるような仕掛けをしたい。9番10番の判断が大事になる」と復帰戦へ意気込んでいる。

フロントローやバックスは第1戦から同じ顔触れをキープしたが、リザーブにはこの試合が70キャップ目になるSO田村優選手やCTBシェーン・ゲイツ選手が名を連ね、代表デビューを待つLO辻雄康選手も入った。

田村選手とゲイツ選手は6月18日のウルグアイ戦に日本代表候補のNDS(ナショナル・ディベロップメント・スコッド)メンバーとして出場して以来の試合だ。フランス代表との第1戦の直前に追加招集されたゲイツ選手同様、田村選手も4日に追加招集されていた。

チームには選手の入れ替わりも多くあったが、坂手キャプテンは「チームは一貫性を持ってやれている」と話し、準備に手ごたえを示した。

 

フランス、中長期的なチームづくり

 日本代表に高さが加わったことについて、フランス代表キャプテンのFLシャルル・オリボン選手は、「チームが(第1戦から)変わったことは理解している。ラインアウトで違うプレーをしてくると思うが、我々も様々なシナリオを用意している」と述べて、対応に自信を見せている。

第1戦では後半に入って高い対応力を示して勝利を収め、初のテストマッチ9連勝としたフランス代表は、第2戦へ向けて第1戦とほぼ同じ顔触れを揃えた。

変更は先発とリザーブともに1ポジション。15番を第1戦でキッカーも務めたFBメルヴィン・ジャミネ選手から、これが代表デビュー戦となるFBマックス・スプリング選手に変え、リザーブに約1年ぶりの代表戦となるFLイブライム・ディアロ選手を起用した。

フランス代表の試合メンバーのキャップ総数では、今回はリザーブに代表戦経験者を多く加えた日本の404(先発234)に対してフランスは254(先発210)となった。

フランス代表のファビアン・ガルティエ監督は、「我々は中長期的なヴィジョンでチームづくりをしている。チームの強さを長期的に維持することが大事だ。若手にはポテンシャルがある」と述べて、来年のフランス大会を含めた長期的なチームづくりの一環として若手主体で臨んでいることに改めて言及した。

また、フランス代表指揮官は、「ラグビーには個人的な閃きが非常に重要で、フランス代表の重要な要素としてDNAに含まれている。我々は(代表監督就任の)当初からそういうプレーを伸ばそうとしているし、それがフランス代表の重要な要素として今後へつながっていくと考えている」と話した。

 

 

日本代表フランス第2戦試合メンバー

1稲垣啓太(埼玉パナソニックワイルドナイツ、41キャップ)

2坂手淳史(埼玉パナソニックワイルドナイツ、29)

3ヴァル アサエリ愛(埼玉パナソニックワイルドナイツ、22)

4ワーナー・ディアンズ(東芝ブレイブルーパス東京、3)

5サナイラ・ワクァ(花園近鉄ライナーズ、1)

6リーチ マイケル(東芝ブレイブルーパス東京、74)

7ベン・ガンター(埼玉パナソニックワイルドナイツ、4)

8ジャック・コーネルセン(埼玉パナソニックワイルドナイツ、8)

9齋藤直人(東京サントリーサンゴリアス、7)

10李 承信(コベルコ神戸スティーラーズ、2)

11シオサイア・フィフィタ(花園近鉄ライナーズ、8)

12中野将伍(東京サントリーサンゴリアス、4)

13ディラン・ライリー(埼玉パナソニックワイルドナイツ、6)

14ゲラード・ファンデンヒーファー(クボタスピアーズ船橋・東京ベイ、2)

15山中亮平(コベルコ神戸スティーラーズ、23)

リザーブ:

16堀江翔太(埼玉パナソニックワイルドナイツ、67)

17森川由起乙(東京サントリーサンゴリアス、1)

18木津悠輔(トヨタヴェルブリッツ、4)

19辻 雄康(東京サントリーサンゴリアス、-)

20テビタ・タタフ(東京サントリーサンゴリアス、11)

21茂野海人(トヨタヴェルブリッツ、15)

22田村 優(横浜キヤノンイーグルス、69)

23シェーン・ゲイツ(NTTコミュニケーションズシャイニングアークス東京ベイ浦安、3)

注:* はキャプテン 所属のあとの数字はキャップ数

 

フランス代表第2戦試合メンバー

1ジャン・バティスト・グロ(RC Toulon、20)

2ペアト・マウバカ(Stade Toulousain、15)

3デンバ・バンバ (Lou Rugby、24)

4ティボー・フラメント(Stade Toulousain、8)

5トマ・ジョルムス (Union Bordeaux Begles、1)

6ディラン・クレタン (Lou Rugby、19)

7シャルル・オリボン* (RC Toulon、24)

8ヨアン・タンガ (Racing 92、1)

9マキシム・ルク (Union Bordeaux Begles、8)

10マチュー・ジャリベール (Union Bordeaux Begles、16)

11マティス・ルベル (Stade Toulousain、3)

12ヨラム・モエファナ (Union Bordeaux Begles、7)

13ヴィリミ・ヴァカタワ (Racing 92、31)

14ダミアン・ペノー (ASM Clemont Auvergne、33)

15マックス・スプリング (USA Perpignan、0)

リザーブ:

16ピエール・ブルガリ (Stade Rochelais、6)

17ダニー・プリソ (Stade Rochelais、15)

18シピリ・ファラテア (ASM Clermont Auvergne、3)

19トマ・ラヴォー (Stade Rochelais、1)

20イブライム・ディアロ (Racing 92、1)

21セコウ・マカルー (Stade Francais Paris、7)

22バティスト・クイユー (Lou Rugby、9)

23アントワーヌ・ハストワ (Section Paloise、2)

注: * はキャプテン 所属のあとの数字はキャップ数