2023年ラグビーワールドカップへ向けて選手層の拡充を図っている日本代表は今回、日本代表と代表候補のナショナル・ディベロップメント・スコッド(NDS)の2チームを編成。それぞれで強化合宿を行い、ワールドカップ出場を決めているウルグアイ代表との第1戦にはNDSメンバーで臨んだ。

 リザーブを含めて9人がこの試合で初キャップ獲得という若いチーム。主将を務めたSO田村優選手、LOヴィンピー・ファンデルヴァルト選手、CTBラファエレティモシー選手ら2019年ラグビーワールドカップで日本の8強入りに貢献した顔ぶれが加わる編成で、活躍次第で代表スコッドへの昇格の可能性もあるなか、積極的なプレーを展開した。

 秩父宮ラグビー場に14,448人の観客を集めた試合で日本は前半10分、右サイドのラインアウトから左へ展開。大外でパスを受けたWTB根塚洸雅選手が相手のタックルを振り切って代表デビュー戦でトライを決めて先制した。

その後18分にPGで加点し、前半終了間際にラインアウトからパスを受けたNO8テビタ・タタフ選手が持ち出し、ステップで相手をかわしてゴール下にトライを決め、日本が前半を15-3で折り返した。

ウルグアイも若手主体の編成で、試合序盤はペナルティが続いて苦戦。前半17分にはFLにイエローカードが出て数的不利になったが、20分には日本のFBにもイエローカードが出てイーブンに。それでもウルグアイは反撃の糸口を見つけられないまま、前半の得点はPG1本に抑えられた。

 日本は後半も攻勢を維持。開始4分でラインアウトを起点にパスを受けたHO堀越康介選手が5点を加え、田村選手のコンバージョンも決まって22-3とリードを広げた。

後半18分に、ウルグアイのディエゴ・マニョ選手に1トライを返されたが、日本はその5分後にラインアウトからモールで押し込んでベンチスタートのHO日野剛志選手がトライ。日野選手は32分にもモールからサイドを突いてインゴールで抑えて連続トライをマークした。

 試合終盤、ウルグアイは途中出場のSHサンティアゴ・アルバレス選手が抜け出して、パスを受けたNO8マヌエル・アルダオ選手が5点を返したが、日本が34-15で勝利した。

 NDSを率いた堀川隆延ヘッドコーチは、「80分を通して試合を支配できていたので、安心して見ることができた。2週間取り組んできたディフェンスとアタックを見せることができたので、満足している」と評価した。

 2チーム制の試みについても、「チームの層を広げていく上では、日本代表に絶対に必要。2019年大会にはサンウルブズや、ウルフパックを設けて、それが(本大会での)結果につながった」と指摘して、「(2チーム制は)今後も続けていく方がいい」と語った。

 ジョセフ日本代表ヘッドコーチも「このプログラムは成功だった」と2チーム制への手ごたえを示し、「NDSの選手のなかにはキャップ数の多い者もいたが、そういう選手たちも異なるコーチングチームの下で緊迫度が少し低い状況でプレーするのを見ることができたし、若手のプレーも見ることができた」と説いた。

 日本代表指揮官は特に、FW陣のプレーを称賛。「ウルグアイ戦はフィジカルなチャレンジになると、昨年のプレーを見て思っていた。そのなかでFW陣は良くやった」と先発フロントローのHO堀越康介選手、PR三浦昌悟選手、PR淺岡俊亮選手、LO大戸裕矢選手、LOヴィンピー・ファンデルヴァルト選手に言及。「彼らのようなタイトファイブがいることで、テビタのような強いボールランナーが活きる」と語った。

 

自信を深める選手

 デビュー戦でトライを決めたリーグワン新人王の根塚選手は、「勝利で終われたのがうれしい。ファーストキャップで緊張もあったが、トライを獲って緊張が吹っ切れた。内側から繋いでもらって自分が決めたのも良かったと思う」と振り返り、ランやディフェンスには「自信を持っていける」としながらも、ハイボールキャッチなどの課題も冷静に受け止めていた。

 怪我を克服して代表19キャップ目を獲得したファンデルヴァルト選手は、昨年7月のアイルランド戦以来の試合出場だった。

「2チーム制でも自分には試合時間が必要だったので、若手の期待されている選手たちと一緒にプレーできた今回の環境は良かった。自分はいま自信を積み上げているところで、どんどん強くなっている。小さいミスもあったが先週より減ったし、より良くなっているし、まだよくできる」と手ごたえを口にした。

 NDSチームは18日の試合後に解散。25日に北九州のミクニワールドスタジアムで行われるウルグアイ代表との第2戦と7月のフランス代表との2連戦(2日、豊田スタジアム&9日、国立競技場)に臨む日本代表スコッドに、NDSから数名が昇格すると見込まれており、決定次第発表される予定だ。

 ファンデルヴァルト選手は、「宮崎(で合宿している日本代表)に合流できればうれしい。去年は酷い怪我で苦しんだ。また代表で活動できればと思っている」と話した。

 

ウルグアイ主将、「修正して2戦目へ臨む」

 一方、敗れたウルグアイ代表のアンドレス・ビラセカ主将は、1戦目の経験を2戦目に活かすと話した。

 「今回の遠征は自分たちの世界での位置を学ぶ良い機会だ。この結果は残念だが、チームは泡会。ここから修正すべき点を修正して2戦目に活かしたい」と語った。

 PRイグナシオ・ペグロ選手も「今日の試合で5人の若手が代表デビューしたのはチームにとってプラス材料だ」と指摘。「日本戦は要求度が高く、日本のようなスピードに慣れていない。フィジカルコンタクトではいいところもあったが、今日の試合でのミスは相手の影響というより、自分たちによるもの。次の試合へそこを修正したい」と話した。

 ウルグアイは2023年フランス大会ではニュージーランド、フランス、イタリア、アフリカ地区予選1位のチームと対戦する。

 

 

日本代表 ウルグアイ戦第1戦メンバー

1三浦昌悟(トヨタヴェルブリッツ)

 →17海士広大(クボタスピアーズ船橋・東京ベイ)、後半20分

2堀越康介(東京サントリーサンゴリアス)

 →16日野剛志(静岡ブルーレブズ)、後半18分

3淺岡俊亮(トヨタヴェルブリッツ)

 →18竹内柊平(NTTシャイニングアークス東京ベイ浦安)、後半20分

4ヴィンピー・ファンデルヴァルト(NTTドコモレッドハリケーンズ大阪)

 →19秋山大地(トヨタヴェルブリッツ)、後半28分

5大戸裕矢(静岡ブルーレヴズ)

6飯野晃司(東京産ゴリーサンゴリアス)

 →20シオネ・ラベマイ(東芝ブレイブルーパス東京)、後半20分

7山本浩輝(東芝ブレイブルーパス東京)

8テビタ・タタフ(東京サントリーサンゴリアス)

9小川高廣(東芝ブレイブルーパス東京)

 →21茂野海人(トヨタヴェルブリッツ)、後半20分

10田村 優*(横浜キヤノンイーグルス)

11根塚洸雅(クボタスピアーズ船橋・東京ベイ)

12ラファエレ ティモシー(コベルコ神戸スティーラーズ)

 →22立川理道(クボタスピアーズ船橋・東京ベイ)、後半29分

13シェーン・ゲイツ(NTTシャイニングアークス東京ベイ浦安)

14竹山晃暉(埼玉パナソニックワイルドナイツ)

15尾﨑晟也(東京サントリーサンゴリアス)

 →23メイン平(リコーブラックラムズ東京)、後半20分

(注:はキャプテン 所属のあとの数字はキャップ数)

 

ウルグアイ代表 第1戦試合メンバー

1マティオ・ペリロ(ペニャロール)

 →18フアン・エチェベリア(ペニャロール)、後半4分

2ギジェルモ・プハダス(ペニャロール)

 →16エミリアーノ・ファッセニーニ(ペニャロール)、後半29分

3イグナシオ・ペクロ(ペニャロール)

 →17エドゥガルド・ベニテズ(ペニャロール)、後半12分

4エリック・ドサントス(ペニャロール)

5カルロス・デウス‘(ペニャロール)

 →19ディエゴ・マニョ(ペニャロール)、後半10分

6ルカス・ビアンキ(ペニャロール)

 →20トマス・エチェベリー(ペニャロール)、後半23分

7サンティアゴ・シベッタ(ペニャロール)

8マヌエル・アルダオ(ペニャロール)

9トマス・インシアルテ‘(ペニャロール)

 →21サンティアゴ・アルバレス(ペニャロール)、後半33分

10フェリペ・エチェベリー(ペニャロール)

11バルタザール・アマヤ(ペニャロール)

 →22フアンマヌエル・アロンソ(ブリーブ)、後半23分

12アンドレス・ビラセカ*(ペニャロール)

13ニコラス・フレイタス(ヴァンヌ)

14マテオ・ビニャールス(ペニャロール)

15ロドリゴ・シルバ(ペニャロール)

 →23ホセマリア・イルレギ(ペニャロール)、後半29分

(注:* はキャプテン 所属の後オ数字はキャップ数)