ワイルドナイツがソツのない試合運びで決勝進出を決めた。
今季新リーグ開幕から2試合を新型コロナウィルス感染症の影響で不戦勝となったものの、第3節以降は14試合全勝でレギュラーシーズン2位に入ったワイルドナイツは、この日のレギュラーシーズン3位のスピアーズとの対戦でもトレードマークの固い守備と機を逃さない速攻を披露。チャンスをしっかりと得点に結びつけた。

トップリーグだった昨シーズンに続いて2季連続で4強入りのスピアーズも激しく競り合い、得意とするラインアウトからモールで攻める形でトライを狙い、ゴール目前まで迫る場面も作ったがなかなか得点に結びつかなかった。

前半7分、LOエセイ・ハアンガナ選手が抜け出し、最後はSO山沢拓也選手がパスを受けてトライ。コンバージョンも決めてワイルドナイツが先制した。

スピアーズは前半15分にSOバーナード・フォーリー選手がPGを決めて4点差に詰め、さらに22分にもPGのチャンスを得たが、これは右ポストに阻まれた。それでも相手の得点を許さずに食い下がり、前半37分にゴール目前まで迫りトライを狙った。ところが、あと一歩のところでWTB竹山晃暉選手にロングパスをインターセプトされ、一気にトライまで持ち込まれ、11点差で前半を折り返した。

 スピアーズは後半早々に攻め込み、前半途中出場のWTB金秀隆選手がFBゲラード・ファンデンヒーファー選手のパスを受けてゴールラインを超えたが、パスがスローフォワードだったとしてトライは認められなかった。

スピアーズは、後半6分には負傷から復帰したジョージア代表HOジャバ・ブレクバゼ選手を含めて4人を交代しさらに反撃を試みた。しかし、要所でパスが乱れるなどのミスもあり、プレーの精度を欠いて苦戦する。

ワイルドナイツは後半11分にPGで加点。さらに後半25分にはラインアウトからモールで押し込み、途中出場したHO堀江翔太選手が押さえてトライをマーク。山沢選手のコンバージョンも決まって22-3とリードを広げた。

 スピアーズは終了間際に途中出場したオペティ・ヘル選手のトライとフォーリー選手のコンバージョンで7点を返したが、点差を埋めて勝利を手にするには至らず、ワイルドナイツが勝利した。

 

ワイルドナイツ、“2連覇”へあと1勝

 昨季、リーグワン前身のトップリーグ最終シーズンを制しているワイルドナイツは、今季15連勝として決勝へ進出。トップリーグ最終シーズンに続いてのリーグ“2連覇”へ、あと1勝となった。

 ワイルドナイツのロビー・ディーンズヘッドコーチは、「素晴らしいラグビーができたこと、心からうれしく思う」と話した。

シーズン序盤のコロナ禍を受けて2試合が不戦敗になる躓きを挽回し、決勝まで勝ち進んだ歩みを振り返って、指揮官は「チームの姿勢とハードワークを誇りに思う。そのおかげでこうして、来週、今季を良いものにする素晴らしい機会を得た」と選手たちの取り組みの姿勢を称えた。

 HO坂手淳史キャプテンは、「いいラグビーができた。いいディフェンスから得点につながることが多かった。ワイルドナイツのラグビーとして成長していると思う」と手ごたえを口にした。

 竹山選手は、「ここまで来たら、自分たちがやってきたことを出し切るのみだと思っていた。インターセプトは自分の強みで狙っていた。理想通りのプレーができた」と振り返った。 レギュラーシーズンで10トライをマークしているWTBは、「80分間、しっかりやり続けることを最後まで出し切れたことが決勝へ向けていい材料になる。まだ終わっていない。最後、勝って笑顔で終われるように頑張りたい」と話した。

 この日の試合には今季最多の15,482人が来場。ワイルドナイツやスピアーズのチームカラーに身を包んだファンがスタンドから熱い視線を送った。

 堀江選手は、「(会場に)来てくださった皆さんは僕らリーグワンのチームのみんなのモチベーションになっている」と感謝を述べて、「決勝も、そのあとの試合も、国内でたくさん試合がある。ぜひ足を運んでもらってラグビーを楽しんでほしい」と、6~7月の日本代表戦なども念頭に呼びかけた。

 

スピアーズHC、3位決定戦は「強く終わりたい」

スピアーズのフラン・ルディケヘッドコーチは、2年連続での4強入りという経験を活かして「いい準備はできていた」と話し、「クボタらしさも見せることができたし、チャンスも多く作れたがそれをモノにしなければやられる。ワイルドナイツはそこでしっかり得点してプレッシャーをかけていた」と振り返った。

スピアーズ指揮官は昨季からの上積みもあるとして、「シーズンを通していいラグビーができてリーグの一員になれたと思う。まだ1試合ある。強く終わりたい」と話した。

 CTB立川理道キャプテンは、ブレイブルーパスとの3位決定戦について「ボールを持ってアタックできる選手がたくさんいるので、しっかりディフェンスしなければならない。ここまで来たらいかにいい準備ができるか。相手ではなく自分たちにしっかりフォーカスして1週間準備したい」と話した。