ワールドラグビー理事会は、試合中に選手以外のスタッフがフィールドオブプレー内に立ち入る機会を制限する世界的試験実施ルールを承認しました。2022年7月1日以降におこなわれる大会および試合の全試合に適用されるこの試験的実施ルールは、プレーヤーの健康を守りながら、不必要に試合が止まっている時間を減らし、試合の流れを改善することを目的としています。
今回の試験的ルールの導入は、ワールドラグビーが行った広範な調査や検討の結果を踏まえたものです。同団体は、エリートラグビーの現状について、またプレーヤーの水分補給の必要性や中断のたびに複数の給水係がフィールドに入ることで生じる試合の乱れの増加に関する調査などを行ってきました。
メディカルスタッフ以外の関係者に対するこの新しい試験的実施ルールは、メディカルスタッフと給水係がいつフィールドオブプレーに立ち入ることができるかについてのプロトコルを改訂し、マッチオフィシャルとの接触を制限する者です。試合を妨害したり、ラグビーの価値に反する行為に課す制裁の枠組みを提供するものです。
この試験的ルールの目的は、試合の流れを改善し、試合への妨害の可能性を減らし、ファンにとっての観戦性を充実させ、マッチオフィシャルによる試合運営をサポートすることです。
この試みは、特にこの変更を支持している国際ラグビー選手会など、各協会や主要なステークホルダーとのパートナーシップのもとに考案されました。
2022年に開催されるラグビーワールドカップ2021、ラグビーワールドカップ2023、また2022年7月1日以降に行われる試合を含むすべての試合において、競技規則第6条に関わる以下の修正が適用されることになります。
- メディカルスタッフ
- 自分が治療しているプレーヤーにのみ水を提供することができる
- プレー中にフィールドに入ったりボールに触れたりすることはできない (罰: ペナルティキック)
- それ以外の関係者
- 給水専門スタッフは各チーム2名までとする。
- 給水係はディレクター・オブ・ラグビーまたはヘッドコーチであってはならない。
- エリートレベルラグビーでは、給水係は各ハーフタイムに2回のみ、マッチオフィシャルと合意した時点でフィールドに入ることができる - これは、プレーの停止中またはトライが決まった後のみ。
- ティーキャリアーはキッカーが飲む分の水のボトル1本のみ持ち込むことができる
- 給水係/ティーキャリアーは、許可を受けてフィールド・オブ・プレーに入るまでは、常にテクニカルゾーンにとどまっていなければならない。ボールインプレーの時にフィールドに入ったり、ボールに触れたりしようとした(テクニカルゾーンを含め)場合、罰則はペナルティキックとなる。
- プレーヤーの治療に関わるメディカルスタッフを除き、誰もマッチオフィシャルに近づいたり、話しかけたり、マッチオフィシャルに向けてコメントをしてはならない。このようなことを行った場合、罰則はペナルティキックとなる。
- フィールド内のプレーヤー
- デッドボールラインの後方またはテクニカルゾーンからいつでも給水することができる 。
ワールドラグビーのプレーヤーウェルフェア・ラグビーサービス主任、マーク・ハリントンは次のように述べています。「プレーヤーウェルフェアを損なうことなく試合の流れをよくすることがこの試験的ルール運用の主要目的です。 ラグビーの試合の流れを改善するため、私たちは具体的な行動を起こしています。今回初めて、試合に直接関与していない人たちの行動によって、フィールドオブプレーでプレーしているチームが制裁を受けることになります。」
「選手でもないのに試合の流れを邪魔する人が増えて手に負えなくなっている という声が、ゲーム全体から上がっていました。 しかし、選手の健康・安全に影響を与えることなく、また最高のパフォーマンスを発揮するために必要なものを提供するために、この問題に取り組む必要がありました。この新しい試みで正しいバランスをとるために協力してくれたパートナーや関係者の皆さまに感謝します。」
イングランドラグビー選手会のクリスチャン・デイ氏は次のように述べています。 「選手たちの意見は最も重要なものです。ですから、選手以外の人がフィールドオブプレーに入ること、そしてそれが現代のゲームにおいてどのように進化してきたかについて、私たちの視点を提供できることは極めて重要なことでした。」
「私たちは、プレーヤーウェルフェアに悪影響を与えないような常識的なポジションに到達したと感じており、同時に、試合中の不必要な中断や潜在的なマイナス要因を減らすことを願っています。」
競技規則第6条の本文の更新については数週間後に発表される予定です。