- 競技規則の新ルールを承認し、あらゆるレベルにおいて損傷予防を推進するというラグビー界のコミットメントを再確認
- プレーヤーウェルフェア(選手の福祉・安全)に焦点を当てた5つの試験的ルールを正式な競技規則として採用
- 詳しい統計学的評価、またラグビー全てのレベルの選手、メディック、そしてコーチからの意見を集めた上での承認
- 新たな競技規則は2022年7月1日に正式に施行
- スクラムブレークフットなどの規則変更についても国際的試験ルールの実施へ
ワールドラグビー理事会は、本日、プレーヤーウェルフェアを重視した国際的試験ルール5項目について、7月1日付で正式な競技規則として採用することを決議しました。この新法により、今後開催される女子および男子のラグビーワールドカップでは、「50:22」や「ゴールラインドロップアウト」など、国際的試験ルールとして現在試行されている一連のウェルフェア重視のルールが正式に採用されることになります。
ラグビーは、プレーヤーウェルフェアに関して最も進歩的なスポーツとなることを使命としており、これら5つの競技規則パッケージは、プレーヤーウェルフェア向上を念頭に、1年間の国際的試験ルール実施期間中、すべてのレベルのプレーヤーがその試験ルールのもとでプレーし意見を述べることができるようにし、その結果を受けての承認となりました。
今年の6か国対抗(シックスネイションズ)で試行されたスクラムブレーキフットは、限定的な試験ルールから国際的試験ルールに移行し、2022年と2023年の男女ラグビーワールドカップでも採用される予定です。
ワールドラグビーの競技規則検討グループとハイパフォーマンスラグビー委員会は、プレーヤー、コーチ、マッチオフィシャル、医療関係者、一般市民などのゲーム関係者からの意見、またウェルフェアとゲームの形に関するデータを詳細に分析し、ワールドラグビー理事会に勧告を行いました。
これら5つの試験的ルールはすべて、安全性と観戦性を高めるものであると判断され、理事会が全会一致で承認しました。以下がそのルールです。
- 50:22
- ゴールライン・ドロップアウト
- ボールキャリアーがコンタクトの前に2人以上の味方プレーヤーとバインドする( フライングウェッジ)
- 下肢を狙う、または下肢に衝撃を与えるようなクリアアウトに制裁を課す
- ラッチング
また、2020年以降に加盟協会から提起された競技規則の明確化に関する裁定に対応し、競技規則の各項目をより明確にするため、微修正を加えることを承認しました。
「ゲームオン・コミュニティ競技規則バリエーション」に加わる新ルールの承認で、各国の協会が国内の大衆参加レベルで実施することができるようになります。 各協会は、自国におけるゲームに関する特定のニーズを満たすことによって、参加者のゲーム体験と安全性をさらに高めることができるようになります。協会は、それぞれの状況や目的に応じて自由に選択することができます。
ワールドラグビーはゲーム全体における損傷データを収集・公表している唯一のスポーツとして、加盟協会、競技会、プレーヤーからの全面的な支持のもと、頭部損傷の予防などウェルフェアの成果をあげるための支援を行うという中心的目標に照らし合わせ、新しい競技規則の影響を引き続き評価していきます。
ワールドラグビーのサー・ビル・ボーモント会長は次のように述べています。「ラグビーの競技規則は、ラグビーというスポーツを身近で魅力的かつ安全なものとする上で根本的なものです。ラグビーの競技規則を、ラグビーをプレーするすべての人にとって最高のものにすることが私たちの使命であり、細かい評価と幅広い協議を経てこれらのルールが承認されたことは、私たちのコミットメントを明確に示しています。」
「この試験的ルールの実施に参加し意見を共有してくださったプレーヤー、コーチ、そしてメディックの皆さまに感謝を申し上げます。皆さまのご意見は私たちにとって重要であり、ラグビーが、プレーヤーウェルフェアにおいて最も進歩したスポーツとして確立していくため、今後も皆さまと意見交換を続けていきます。」
ワールドラグビー、プレーヤーウェルフェア・ラグビーサービスのチーフオフィサーのマーク・ハリントンは次のように加えています。「競技規則の評価は、ラグビーにおける損傷のリスクを減らすための総合的なアプローチの重要な一面であり、ラグビーをできる限りシンプルで安全にすることを目指し、競技規則を継続的に監視、見直し、進化させます。」
「これら試験的ルールの大部分は、2018年に開催された『プレーヤーウェルフェア・競技規則に関するシンポジウム』から生まれました。そしてこれらは、あらゆるレベルのプレーヤーを保護することに関して、このスポーツの団結した揺るぎない意思を反映したものです。新ルールはそれぞれ、エビデンスに基づくアプローチを反映させ、専門家の意見を取り入れて開発されています。ラグビーにおけるコンタクト領域の性質を変え、試合全体での接触頻度を減らすことによって、リスクの高い行動をさらに減少させます。」
「この重要な取り組みに加え、オタゴ大学およびアルスター大学との共同研究を行なっており、コミュニティラグビーとエリートラグビーにおける頭部衝撃の頻度と性質に関する画期的な研究が完了しつつあります。さらに女子ラグビーに特化した研究、また、昨年発表した「コンタクトトレーニングガイダンス」に関する検証も行っています。これらの優先事項はすべて、ラグビーのあらゆるレベルのプレーヤーウェルフェアを向上させるために私たちが下すべき決断に反映されるでしょう。」
フランスで開催された「プレーヤーウェルフェア・競技規則に関するシンポジウム2018年」で、福祉に焦点を当てた競技規則の改正の可能性について各協会が提起したことから始まったこのプロセスは、今回の理事会承認を受けて終了しました。
ロー・レビュー(競技規則検討)グループが最も効果的と判断したものは、詳細な評価とフィードバック(パブリックコンサルテーションを含む)のプログラムを経て、2020年に限定的な試験的ルールの実施が承認され、最もインパクトのあるものは2021年7月の国際的試験ルールの実施へと進みました。