サクラフィフティーンこと、女子日本代表が、ワールドカップ初出場を決めて上り調子のフィジー女子代表に逆転勝ちを収め、幸先の良いスタートを切った。

 オーストラリアのスーパーWで優勝したフィジアナ・ドゥルアのメンバーを中心に、海外でプレーする選手を招集して秋のワールドカップへ強化を進めているフィジーは、試合開始からアグレッシブにパワーとスピードのあるプレーを披露。日本にプレッシャーをかけ続けた。

前半15分にWTBユーニス・ベセ選手が先制のトライを決め、その15分後にはCTBロエラ・ラディニヤブニ選手がインゴールに走り込み、WTBヴィタリナ・ナイコレ選手が2本目のコンバージョンを成功させて、フィジーが14-0のリードを奪った。

 しかし、日本は立ち上がりから押し込まれる展開にも粘り強く戦いながらも冷静さをキープ。FWのタフさ、代表デビューとなったWTB松田凛日選手らバックスの機動力も披露して相手にプレッシャーをかけ、36分にはゴール前のラックからFL齊藤聖奈選手が押さえて5点を返した。

 さらに、前半終了間際には、相手のペナルティで得たラインアウトからモールで攻め込み、相手を引き付けたところでSO今釘小町選手がインゴールへキック。これをブランビーズでプレーするCTB古田真菜選手が走り込んで押さえ、FB平山愛選手がこのコンバージョンも決めて、日本がハーフタイムで同点に追いついた。

 サクラフィフティーンは、後半開始早々にもFWで押し込んで相手のペナルティを誘い、ペナルティトライを獲得。ペナルティの増えたフィジーが後半5分と23分にイエローカードを受けると、日本は数的優位とベンチスタートの選手を活かして攻勢を維持。すると後半30分に、ゴール前のラックからパスを受けた永井彩乃選手がゴールに倒れ込んでトライ。キックが安定している平山選手はこのコンバージョンも決めて、日本が28-14で勝利した。

女子日本代表のテストマッチ戦勝利は、コロナ禍で試合機会が少なかったこともあり、2019年スコットランド代表戦(24-20)以来4試合ぶりだ。

 

楽しめる、質の高いラグビー

 ラグビーワールドカップ開幕を約半年後へ向けてチーム強化を進めるサクラフィフティーンにとって、今回の遠征は昨年11月の欧州遠征に続く貴重な実戦機会だ。

半年前の遠征ではウェールズ、スコットランド、アイルランドと対戦して競り合いながらも3連敗。それを受けて、キャプテンの南早紀選手は「勝ち切るチームになる」ことを今回の遠征のテーマに掲げている。

南キャプテンは、「まず勝ち切ることができて、ほっとしている」と話し、相手に先制される展開にも、「警戒していた相手のフィジカルにも個々の接点で止めることができていたし、セットプレーも通用していたので、今のまま、継続してやるべきことをやろうと試合中に話していた」と語った。

レスリー・マッケンジー女子日本代表ヘッドコーチは、「この結果はとても嬉しいし、選手たちも喜んでいると思う。取り組んできたことが結果につながった」と評価した。

「フィジーは素晴らしいプレーをした。相手がここ数か月の勢いを活かして、ハードに向かって来ることは分かっていたが、こちらも冷静に立ち向かえば大丈夫だと自信を持っていた」と話した。

女子日本代表指揮官は、「日本とフィジーの対照的なスタイルのラグビーで、両チームでスキルも質も高いラグビーができていた。自分がヘッドコーチでなく一般の観客だったらもっと楽しめていたと思う」と笑顔を見せた。

齊藤選手は、反撃のきっかけとなる前半のトライについて、「選手みんなのおかげで獲ることができた。チーム全員のトライ」と振り返った。

さらに、チーム最多27キャップを保持するFWは、「フィジーの勢いがある中で、我慢をしてディフェンスすることができて、それが勝利につながった」と手ごたえを口にしたが、「まだトランジションに課題もある。次戦までにチームで修正したい」と述べて、次へ視線を移していた。

日本はこのあと、5月6日(金)にオーストラリアン・バーバリアンズとブリスベンで対戦し、10日(火)にはテストマッチ第2戦でオーストラリア代表とゴールドコーストで対戦する。

 

 

女子日本代表、フィジー代表戦メンバー:

1南 早紀(横河武蔵野アルテミ・スターズ)

 →16小牧日菜多(日本体育大学ラグビー部女子)

2永田虹歩(国際武道大学女子ラグビー部)

 →17鈴木実沙紀(東京山九フェニックス)

3左高裕佳(弘前サクラオーバルズ)

 →18ラベマイまこと(ブランビーズ)

4玉井希絵(MIE PEARLS)

 →19高野眞希(横河武蔵野アルテミ・スターズ)

5佐藤優奈(東京山九フェニックス)

6齊藤聖奈(MIE PEARLS)

7長田いろは(ARUKAS QUEEN KUMAGAYA)

8マテイトンガ・ボゴドゥラマイナダヴェ(MIE PEARLS)

→20永井彩乃(YOKOHAMA TKM)

9阿部 恵(ARUKAS QUEEN KUMAGAYA)

10今釘小町(ARUKAS QUEEN KUMAGAYA)

 →22大塚朱紗(RKUグレース)

11松田凛日(日本体育大学ラグビー部)

 →23伊藤優希(MIE PEARLS)

12中山潮音(横河武蔵野アルテミ・スターズ)

13古田真菜(ブランビーズ)

14名倉ひなの(横河武蔵野アルテミ・スターズ)

15平山 愛(自衛隊体育学校)

リザーブ

21津久井萌(横河武蔵野アルテミ・スターズ)