今年1月15日に発生した、トンガの北側海域にある海底火山の大規模噴火で噴煙と津波の被害を受けたトンガの救済と復興支援のために、ラグビーを通してトンガと長い関わりを持つ日本ラグビー界がチャリティマッチを行う。

 開催は6月11日(土)に東京の秩父宮ラグビー場で、日本代表候補選手を中心に特別編成されるEMERGING BLOSSOMS(エマージング・ブロッサムズ)と、日本のリーグワンでプレーするトンガ出身選手や同国にルーツを持つ選手によるTONGA SAMURAI XV(トンガサムライ・フィフティーン)の対戦となる。

 後者は、かつて日本代表でもプレーしたトンガ出身のノフォムリ・タウモエフォラウ氏が団長を務め、同じく元日本代表のラトゥ ウィリアム志南利氏が監督としてチームを率いる。チームスタッフにもトンガ出身の元選手を揃える予定だ。

ノフォムリ氏は1980年に大東文化大学にトンガからの留学生第一号として入学し、ラトゥ氏が1985年に続いた。二人は、今日まで広く行われている日本留学の道筋をつけた人物である。

ラトゥ氏は、「現在は高校、大学、社会人で200人近いトンガ出身選手が日本で生活しており、その多くは日本代表でも活躍しています。日本でこのような試合を開催するのはトンガ王国にとって初めてのことで、私たちの夢が現実のものとなりました。トンガ王国復興のキックオフとなり、両国の交流がますます深くなることを望んでいます」と述べている。

 トンガサムライXVは、6月上旬のメンバー発表に続いて、6日から高知県で合宿を実施して試合に備える。高知はラグビーワールドカップ2019日本大会でトンガ代表が事前キャンプを行った場所だ。チーム編成から合宿地まで、日本とトンガのラグビーによる長く深い関わりを示す機会として注目される。

 日本ラグビーフットボール協会の森重隆会長は、「本チャリティマッチの開催を通じて日本とトンガ王国の絆をさらに強め、互いの友情を育む機会にできることを嬉しく思います」と述べ、エマージング・ブロッサムズについては「日本代表に選出される可能性のある、高いポテンシャルを持った選手たちで、この先日本代表として花開くことを期待して、熱戦を繰り広げてくれることを楽しみしています」とコメントした。

 日本協会では1月28日からは災害支援のための募金活動も実施しており、現在も継続中。3月31日には、それまでに集まった10,015,927円を日本赤十字社へ寄付した。今回のチャリティマッチは救済活動の第2弾にあたり、新型コロナ感染対策を取りながら観客を入れて実施し、その収益を寄付するもの。寄付先は決定後、発表される。