ディヴィジョン1は1月7日の開幕から3月6日まででレギュラーシーズン前半戦を終了したが、折り返しとなった第8節にも各地で熱戦が繰り広げられている。

首位のスピアーズは東京・江戸川陸上競技場で静岡ブルーレヴズと対戦し、パワフルなFW陣を軸に優勢に試合を進め、前半終了直前には、ゴール前のラインアウトからモールで押し込み、HOマルコム・マークス選手が最後に持ち出してトライをマーク。27-7で前半を折り返した。

 後半になると静岡の反撃を受けてスピアーズは規律が乱れ、後半13分にFLファウルア・マキシ選手がイエローカードを受け、その4分後にはマークス選手が負傷交代。その時間帯に静岡に2トライ1コンバージョンを許して30-19まで追い上げられ、さらに後半20分と29分に静岡HO日野剛志選手に連続トライを返されて、30-24の6点差に詰められた。だがスピアーズはFW陣を中心に粘り抜き、それ以上の追加点を許さずに逃げ切った。

 スピアーズ主将で元日本代表CTB立川理道選手は「最後の15分、タフな状況で一人ひとりがいい判断でプレーした。勝ち続けていることでチームの自信になる」と話して、チーム一丸での勝利を喜んだ。

 そのスピアーズに勝点1差で迫るのが、サンゴリアスだ。4日のホストゲームではコベルコ神戸スティーラーズに56-17で快勝。ニュージーランド代表FBダミアン・マッケンジー選手とWTBテビタ・リー選手がそれぞれ3トライずつをマークするなど9トライの猛攻で観客を魅了した。

マッケンジー選手の1本目は、CTBサム・ケレビ選手の同点トライから3分後の前半16分。ハーフウェイライン付近で抜け出すと、並走するWTB尾﨑晟也選手とのパス交換でインゴールに持ち込んだ。2本目はその17分後、CTB中村亮土選手のキックパスをインゴールで押さえ、3本目は後半25分、神戸LOのJD・シカリング選手が1トライを返した直後。マッケンジー選手はコンバージョンも8本すべてを成功させて、合計31得点を叩き出した。

同じく3トライのリー選手は、前半24分にマッケンジー選手へのダミーパスで相手を欺き、長い距離を疾走して1本目を得点。19-5としてチームを勢いづかせた。U20ニュージーランド代表経験もある11番は、後半開始早々にも相手のタックルを受けながら左隅に飛び込んで2本目を決め、試合終了直前にはマッケンジー選手のパスを受けてハットトリックを達成した。

チームは、2月26日には昨季王者の埼玉に17-34で敗れて今季初黒星を喫していたが、中5日で建て直し、ボーナスポイントも得て7勝1敗(不戦勝2)とした。

 

マッケンジー選手、連携に手ごたえ

 マッケンジー選手は、「チームとしていいパフォーマンスができたし、FWもセットピースで良いボールを供給してくれた。先週はすごく悔しい試合になったが、今日はチームとしてポジティブなパフォーマンスができた」と振り返った。今季5試合に出て通算4トライ、21コンバージョン、7PGで83得点を叩き出し、チーム総得点283の3割にあたる。

 ニュージーランド出身の26歳は「素晴らしい選手のいる素晴らしいチームでプレーを楽しめているし、全チームメイトとコンビネーションも合ってきている」と好感触を示し、「コロナの影響で難しいシーズンだが、自分のプレーでチームにより良い影響を与えられるように意識してプレーしている」と言った。

同僚の中村キャプテンも、「彼(マッケンジー選手)のパスや走るコースなど、試合を重ねるにつれて合ってきている。同じ絵を見てプレーすることにフォーカスしていて、お互いにコミュニケーションを取りながら、どんどん良くなっている」と好感触だ。

 一方、旧トップリーグで常勝の実績のある神戸だが、今季はチーム内にコロナ感染者が出た影響で2月19日のトヨタヴェルブリッツ戦、同26日のNTTドコモレッドハリケーンズ大阪戦が中止され、この日が約1ヵ月ぶりの試合だった。

神戸のデイヴ・ディロン監督は「言い訳にはならないが」としながらも、コロナ禍の影響で2~3週間まともに練習でこなかったことを明かし、前半11分の先制以降は相手にペースを握られ、「パスやタイミングなど、プレーが合っていなかった」と残念がった。思うような攻撃はできないまま、この結果、2勝6敗(不戦敗2)で9位に低迷している。

 

ワイルドナイツは6戦6勝

この2チームに埼玉ワイルドナイツが猛追。6日のアウェイでのNTTドコモレッドハリケーンズ大阪戦では66-10と大勝。埼玉はシーズン序盤の2試合をチームに新型コロナウィルス感染者が出た影響で不戦敗となる厳しいスタートだったが、その後は6戦6勝だ。

日本代表SO松田力也選手が1トライ1PG、コンバージョン9本すべてを成功させて26得点を叩き出し、HO坂手淳史選手とCTBディラン・ライリー選手がトライを2本ずつ決めるなどで圧倒した。

また。今季加入したオーストラリア代表WTBマリカ・コロインベテ選手は華麗なステップワークで相手を翻弄。2月19日の東芝ブレイブルーパス戦では長い距離を独走してトライをマークするなど、インパクトを与えている。

実施された6試合中、大阪戦以外はフル出場して4トライ。トライランキング(8位タイ)だけでなく、クリーンブレイク(2位タイ)、ボールキャリー(6位)、DF突破数(9位タイ)、ゲインメーター(5位)の項目すべてでトップ10入りしている。

一方、レッドハリケーンズはこれで2勝6敗(不戦勝1、不戦敗2)で11位。昨季は快進撃を遂げたが、今季は開幕戦で南アフリカ代表SOエルトン・ヤンチースが負傷。それ以降苦しい戦いが続いている。

このほか、トヨタヴェルブリッツは、ホームでシャイニングアークス東京ベイ浦安に31-22で競り勝って6勝2敗(不戦勝3)、勝点27でワイルドナイツに並んで4位につける。アークスは2勝6敗で12位。

東芝ブレイブルーパス東京は横浜キヤノンイーグルスに前半15-7のリードを許したが、後半、WTBジョネ・ナイカブラ選手のこの日2本目のトライで追い上げ、終了間際にCTBセタ・タマニバル選手が逆転トライに成功して21-18で勝利。4勝4敗(不戦勝1)として、イーグルスの連勝は2でストップし、5勝3敗(不戦勝1)で5位につけるが、6位のブレイブルーパスには勝点3差に迫られている。

7位リコーブラックラムズ東京は、8位NECグリーンロケッツ東葛に21-18の逆転勝ちで3勝目を挙げた。7-18の後半13分にブラックラムズのFBメイン平選手がトライ。相手がイエローカードで14人となった後の同21分にWTBロトアヘアアマナキ大洋選手が5点を加えて19-18とし、SOアイザック・ルーカス選手が3本目のコンバージョンを成功させた。

 

トップ2が対戦

 どのチームもコロナ感染の影響を受けて行えなかった試合があり、順位表から実力を測るのは難しいシーズンになっている。最も多く試合を逃しているのはヴェルブリッツ、ブラックラムズ、レッドハリケーンズで、それぞれ3試合。感染者を出して試合中止の責を負うチームが不戦敗となり、対戦相手に勝点5が与えられるため、当然ながら、感染者を出さないことがリーグ戦を戦い抜く大きな要素になっている。

 次節3月11~12日の第9節からレギュラーシーズン後半戦に入るが、11日に2位サンゴリアスが秩父宮でのホストゲームで首位スピアーズと対戦する。

 ここまでの6試合中5試合に出場し、前節神戸戦では今季初トライも決めているサンゴリアスFL小澤直輝選手は、スピアーズについて「FWメンバーが大きく外国人選手が多いので、フィジカルバトルで負けないこと、継続して不用意なペナルティをしないこと、相手の土俵で戦わないことがキーポイントになる」と話している。

レギュラーシーズンは5月8日まで行われ、上位4チームがプレーオフに進出する。