- 新たな「環境サステナビリティ計画」で二酸化炭素排出量、廃棄物、その他の環境負荷を削減するための具体的な目標を設定
- 排出量を2030年までに半減、2040年までにゼロにすることが急務であることを反映し、ワールドラグビーが「Race to Zero」キャンペーンに参加
- 世界屈指の専門家、また世界のラグビーファミリーと協議を経て策定された戦略
- 2030年までにラグビーワールドカップとHSBCセブンズシリーズを気候変動に配慮したものにするなどの目標を設定
- 協会、ラグビー界の重鎮、パートナー、IOCなどの関係者がこの計画を積極的に支持。
ワールドラグビーは、ラグビーに影響を与え、またラグビーから影響を受ける環境持続性の問題に取り組むための具体的な戦略、「環境サステナビリティ計画2030」を本日発表しました。
同国際競技連盟は、結束と尊重という価値に沿い、今後10年間で達成すべき意欲的かつ具体的な目標を設定。その中には、2030年までに二酸化炭素排出量をオフセットなしで50%削減することなど、多くの具体的な目標が含まれています。
ワールドラグビーは、前向きな変化を積極的に支持し、ラグビーキットや用具の回収・再分配のパートナーであるSOS Kit Aidを20年以上にわたり支援し、2018年には国連環境/IOCクリーンシー・イニシアティブに参加し、2019年には国連のスポーツ気候行動枠組みに署名した最初の国際競技連盟の1つです。
しかし、世界中のラグビー界に影響を及ぼしている気候危機は、ワールドラグビーがリーダーシップを発揮し、ワールドラグビー2021-25戦略に沿った包括的な環境サステナビリティ計画を策定することをさらに動機付けました。
地球温暖化に起因する暴風雨、洪水、火災、干ばつは地域社会を荒廃させ、特に低地の太平洋諸島は、海面上昇によりその存在自体が危うくなり、気候変動の影響に対して地球上で最も脆弱な地域社会の一つとなっています。早急かつ有意義な対策を講じなければ、ラグビー・ファミリーも、世界で影響を受けている他のすべてのグループ、コミュニティ、生態系の仲間入りをすることになります。
これまでの12ヶ月間、ワールドラグビーはスポーツとサステナビリティの主要な専門家と協力し、最も大きな影響が及ぼされる分野、ニーズや影響力を理解し評価してきました。ワールドラグビーのESP 2030は、このプロセスの成果であり、幅広い協議プロセスにおいて協会、プレーヤー、ファン、パートナー、サプライヤーなど、ラグビーに関わる主要なステークホルダーの意見とフィードバックを受けて作成されたものです。
この計画は、ラグビーが地球環境に与える影響に対処し、ベストプラクティスを推進するためのロードマップを提供するもので、ラグビー界の著名人や国際ラグビー選手、IOCや国連などの外部のスポーツおよび持続可能性の専門家も推奨しています。
ワールドラグビーの環境サステナビリティ計画2030は、3つの優先テーマに焦点を当てています:
- 気候変動対策:ラグビーのカーボンフットプリントへの取り組み、2015年のパリ協定に沿った適応策、ラグビーのプラットフォームを利用した気候変動対策の普及と提唱
- 循環型経済(物品と資源の管理):使い捨てプラスチック、短寿命物品、廃棄物管理などの問題に取り組む。
- 自然環境保護:ラグビーが行われる場所における生態系の維持、そしてより健全な環境を促進する方法について取りあげる。
戦略には、活動の4つの柱に焦点を当てた、意欲的かつ達成可能な目標が含まれます:
- 私たちのガバナンス:私たちが行うこと全てにおいてサステナビリティを組み込む
- 私たちが直接及ぼす影響:私たち自身の活動による環境フットプリントを削減する
- 私たちが開催するイベント: 持続可能なラグビー大会の実施と支援
- 私たちのグローバルファミリー: ラグビーにおけるサステナビリティを教育、提唱、知識の共有を通じて推進
ワールドラグビーは、二酸化炭素排出量の50%削減に加え、この計画で定められたさらに15項目の目標に向けて取り組んでいきます。 これらの目標には、2025年までにすべてのワールドラグビー主催の大会が自然環境にプラスの影響を与えるものにすること、2027年までにワールドラグビー主催の大会用に作成される短命品の数を80%削減すること、ラグビーワールドカップ開催地の選考など、ワールドラグビーにおけるあらゆる意思決定プロセスにおいてサステナビリティを重要視すること、などが含まれています。
ワールドラグビーは、これらの新規目標により、UNFCCCが定めるRace to Zero(ゼロへのレース)に署名するための要件を満たしたことになりました。Race to Zeroは、将来の脅威を防ぎ、適切な雇用を創出し、包括的かつ持続可能な成長を可能にし、健全で回復力のあるゼロカーボン復興に向けて、企業、都市、地域、投資家のリーダーシップと支援を結集するグローバルキャンペーンです。このキャンペーンの署名者は、2030年までに排出量を半減し、遅くとも2040年までには「排出量正味ゼロ」を達成するという同じ共通目標にコミットすることになります。
ワールドラグビーのサー・ビル・ボーモント会長は、次のように述べています。「気候危機は、人類および地球上に住む脆弱な生態系が直面する最大の課題であることは言うまでもありません。気候危機は、私たちの生活のあらゆる領域に影響を及ぼし、愛するスポーツをプレーする能力にも影響を及ぼしています。」
ラグビーとそれに関連するすべての活動が気候や環境に与える影響は、他の分野に比べて比較的小さいものですが、環境と社会的責任を強く主張し、説明責任、積極的行動、グッドガバナンスを通じてリーダーシップを発揮することは、私たちの道義的責任です」。
大規模な作業と協議の結果、この「環境サステナビリティ計画2030」を発表できることを大変誇りに思います。この計画は、ラグビーに影響を及ぼし、またラグビーが影響を与える環境持続性の問題に取り組むための意思表明であり、具体的なロードマップでもあります。
「これは、責任あるスポーツとなるという共通の目標に向けた有意義で刺激的な旅の始まりです。ラグビーに関わるすべての人々が、気候変動への取り組みで役割を果たし、ファンや加盟協会に行動を促していきます。」
ワールドラグビーは、この旅にプレーヤーをはじめとするすべてのステークホルダーを巻き込み、参加を促していきます。
スコットランドとグレートブリテンのセブンズ代表(47キャップ)であり、スコットランドラグビー協会のサステナビリティ・アンバサダーであるジェームズ・ファーンデール選手は次のように述べています。「ワールドラグビーが環境に対する責任を認識していることを知り大変感激しています。この計画は、野心的かつ測定可能で具体的なものであり、より持続可能なラグビーの未来への明確なロードマップを示し、率先して行動し、ラグビー界の他の国々を巻き込んでいくものです。特に、気候変動に配慮したイベントを開催するという目標には大きな期待を寄せています。ラグビーは、スポーツにおける環境保護のリーダーとなり、他のスポーツに対して進むべき道を示す機会を持っています。
国連気候変動のセクター別エンゲージメント主任 (スポーツ気候行動)のリディタ・ザフェリ・サリフ氏は次のように述べました。「これからの10年は地球の未来にとって極めて重要です。それは、スタジアムのフィールド内外でゲームを守るということです。気候変動と戦うチャンスを得るため、私たちは皆、有意義かつ強固で透明性のある方法で今すぐ行動を開始しなければなりません。私たちは、ワールドラグビーが国連の「スポーツ気候行動枠組み」が掲げる野心的な目標にコミットしたこと、そして誰もが負けるわけにはいかないレース、「ゼロへのレース」に参加することを称賛します。
また、国際オリンピック委員会のオリンピック・ムーブメント・シニアマネージャーであるジュリー・ダフス氏もこの計画について次のようにコメントしています。「気候危機が迫っている今、地球温暖化がもたらす最悪の影響を回避するための行動を、社会の全セクターが約束・支援しなければなりません。IOCのステークホルダーとの緊密な協力関係のもと、ワールドラグビーが、これまでの取り組みに加え、この環境サステナビリティ計画でその野心と行動を正式に表明したことを嬉しく思います。」
「ワールドラグビーは、この活動を通じて、スポーツ界でリーダーシップを発揮し、自らの行動に責任を持ち、ラグビーが運営するユニークなプラットフォームを利用して、世界の行動と変革に影響を及ぼしています。IOCは、情熱、尊敬、結束という共通の価値をもって、ワールドラグビーがその目標を達成するのを支援することを楽しみにしています。これは、スポーツの実践と楽しみだけでなく、持続不可能な行為によって最も危険にさらされているすべての地域社会の未来を守ることにつながるでしょう。」
詳しい情報は、www.world.rugby/environment からご覧ください。
編集者への注記
環境サステナビリティ計画2030に含まれているワールドラグビーの目標は以下の通りです。
- ワールドラグビーにおけるあらゆる意思決定・組織運営プロセスにおいて、サステナビリティを重要な検討事項とする。
- 国連の「スポーツ気候行動枠組み」の要件に従い、2030年までに二酸化炭素排出量をオフセットに頼らずに少なくとも50%削減する。
- すべての物品の調達は、必要性・ライフサイクル所有コスト・使用後の再利用の選択肢に基づいて正当化されること。
- ワールドラグビーが使用する使い捨て品や短命品を特定し、2030年までに80%削減する。
- 電子機器の使用期間を現在の平均寿命の2倍に延ばす。
- 森林破壊リスクのある商品・製品、絶滅危惧種由来の食品の使用をゼロにする。
- 2030年までに大会開催に伴う二酸化炭素排出量を、オフセットに頼らず50%削減するために、地元の主催者と協力する。
- ラグビーワールドカップとセブンスシリーズを、2030年までに気候変動に配慮した大会にする。
- すべてのワールドラグビー大会運営組織は、2030年までに、大会の概念的な計画・企画および物品・資材の調達において、循環型経済の原則を適用する。
- 大会運営組織と協力し、大会で使用する使い捨て品および短命品を2023年までに(2019年を基準として)50%、2027年までに80%削減する(例:物品、看板、包装、家具、ルック&フィール要素)。
- 2025年以降に開催するワールドラグビー大会終了後に、稼働中または修理可能なすべての電子機器の再利用を義務付ける。
- ワールドラグビーが主催する主要大会は全て、2030年までに開催地域の自然環境と生物多様性における測定可能なプラスの効果をもたらすことを保証する。
- ハイパフォーマンスラグビー協会は全て、2025年までに独自のサステナビリティ計画を策定し、進捗状況を監視・報告する。
- ワールドラグビーの加盟協会とリージョンは全て、2030年までに独自のサステナビリティ計画を策定し、進捗状況を監視・報告する。
- 加盟協会とリージョンは全て、2025年までに国連の「スポーツ気候行動枠組み」に署名し、2030年までにその原則を積極的に実行する。
- ワールドラグビーの環境サステナビリティに関する目標と成果に対する認知度が前年比で大幅に向上していることを、ステークホルダー調査を行って確認する。
- 著名な現役選手や元選手を起用し、サステナビリティへの取り組みを提唱・推進するアンバサダープログラムを作成する。