東京の味の素スタジアムでヴェルブリッツと対戦したサンゴリアスは、先週のシーズン初戦での勝利で得た勢いを活かして攻守に好ゲームを展開。南アフリカ代表FLピーターステフ・デュトイ選手やニュージーランド代表LOパトリック・トゥイプロトゥ選手を擁するビジターから7トライを挙げる快勝だった。

 ショーン・マクマーン選手が、先週のハットトリックに続いて2トライをマーク。ワラビーズで27キャップを保持するNO8は開始3分で先制トライをマークすると、前半終了直線にも5点を加え、その間に中野将伍選手と尾﨑晟也選手の両ウィングが1トライずつを決めた。

 安定したキックで前半だけでコンバージョン3本とPG1本で加点するマッケンジー選手は、後半開始早々に右サイドでのスクラムからのパス展開を受けてゴール下に走り込み、リーグワン参戦初トライ。自身でコンバージョンも成功させて36-3とリードを広げた。

 ヴェルブリッツは、1月9日の静岡ブルーレヴズとの開幕戦が対戦相手に陽性者が多発したことで中止されたため、これがシーズン初戦。しかし、12月末に予定されていたコベルコ神戸スティーラーズとのプレシーズンマッチも同様の事情で中止になり、12月11日以来の試合となった影響か、攻守にプレッシャーをかけられて連携に乱れが生じて苦戦。ペースをつかめないまま、前半はPG1本のみに押さえられた。

 後半11分にようやくWTBヘンリー・ジェイミー選手のトライで5点を返し、サンゴリアスを終盤まで無得点に抑えたが、試合終了直前に2トライを許して突き放され、シーズン初白星は次節以降にお預けとなった。

 昨季ハイランダーズでスーパーラグビーに挑戦して復帰したFL姫野和樹選手は、「完敗。言い訳することはない。初戦という難しさもあったが、ここから何を学んでどう変えていくかだ」と前を向いた。

 一方、サンゴリアスのCTB中村亮土主将は、「先週の課題を含めていい準備をした結果。こういう準備を毎回積み重ねたい」と話し、「試合をするにつれてコンビネーションは良くなっている。これからメンバーが変わっても、同じ質のラグビーをできるようにしていきたい」と語った。

 プレーヤー・オブ・ザ・マッチに選ばれたマッケンジー選手は、「日本のラグビーは展開が速いし、厳しい試合になったが、チームでいいパフォーマンスができて、いい勝利になった」と振り返った。「最後までたくさんのファンがサポートしてくれて嬉しかった。これからの試合にも多くのファンが足を運んでほしい」と話した。

 

横浜も2連勝、スピアーズは白星スタート

 この結果、開幕2連勝としたサンゴリアスはボーナスポイントを加えて勝点を9とし、勝点10で首位に立つリコーブラックラムズ東京を勝点1差で追う。

ブラックラムズは、開幕節NTTドコモレッドハリケーンズ大阪戦で7トライを挙げる快勝を見せていたが、この日は静岡戦がコロナ禍で中止になり、不戦勝で勝点5を手にした。

 横浜キヤノンイーグルス、クボタスピアーズ船橋・東京ベイも勝利で勝点を9とした。

ホームの横浜は、CTB梶村祐介選手がハットトライをマークするなど 8トライの攻撃でコベルコ神戸スティーラーズに55-21の快勝。日産スタジアムに11,233人を集めた試合で勝利し、開幕から2連勝とした。神戸は2連敗を喫した。

今季初戦を迎えたスピアーズは、NTTコミュニケーションズシャイニングアークス東京ベイ浦安をノートライに抑えて19-9で勝利。FBゲラード・ファンデンヒーファー選手がキックで14得点を挙げた。スピアーズは先週の開幕戦が埼玉パナソニックワイルドナイツに感染陽性者が多数出たことで中止になっていた。

東芝ブレイブルーパス東京はアウェイでレッドハリケーンズに35-16で勝って今季初勝利をマーク。レッドハリケーンズは、司令塔の南アフリカ代表エルトン・ヤンチースを負傷で欠いて、2連敗で苦しい状況だ。

オミクロン株による感染拡大の影響で、ディヴィジョン1(D1)では1月7日の開幕戦を含めて5試合、ディヴィジョン3(D3)では4試合が中止され、また中止が決まっている。

 D1の静岡ブルーレヴズは、この日予定されていたアウェイでのブラックラムズ東京戦に加えて、23日のサンゴリアス戦も中止が決定。多数の感染陽性者が出たことで試合に必要な選手を揃えられないためで、開幕から3戦連続で試合ができない状態が続いている。

 リーグではD1、D2の第2節を前に1月13-14日に全24チームの選手(負傷入院者を除く)とスタッフにPCR検査を実施。その結果、119件の陽性が確認された。各チームが感染防止対策に神経を使う状況が続いている。

 

スタンドのファンがトンガ国旗

この日の味の素スタジアムのスタンドには、トンガの国旗を手にしたファンの姿が多く見られた。15日に発生したトンガ沖の海底火山の大規模噴火により、津波や火山灰の被害をはじめ、停電や電話やインターネットなどの通信機能障害に見舞われていると報じられているが、被害を受けた現地への支援の思いを示したものだ。

 日本でプレーするトンガ出身選手も多く、この試合の出場メンバーではヴェルブリッツFLフェツアニ ラウタイミ選手と途中出場のサンゴリアスFLテビタ・タタフ選手もそうだ。二人ともトンガにいる家族と連絡が取れない状況のなか、試合に出場してハードなプレーを披露した。

試合後、「ファンの人がトンガの国旗を持ってサポートてくれた。感謝したい」と話したフェアツアニ選手は、試合前日、家族への連絡中に通信が切れたとそうで、「まだ連絡が取れていない。どうなっているか分からないから、ずっと心配している。みんな、大丈夫か…」と表情を曇らせた。

タタフ選手も「まだ家族とも連絡が取れてない。何を話したらいいのか分からない」とチーム広報を通じてコメントした。

 日本だけでなく昨季プレーしたハイランダーズなどトンガ出身選手の友人が多いというヴェルブリッツFL姫野和樹選手は、「ただただ心配。私たちが被災した時にはトンガからもサポートしていただいた。こういう恩を何倍にしても返したい」と話した。