男女とも不振に終わった今夏の東京オリンピックから2024年のパリ・オリンピックでの巻き返しを期して、日本ラグビー協会はセブンズ日本代表にテクニカルディレクター(TD)を新設し、男子と女子の強化の建て直しに乗り出した。また、セブンズ日本代表のナショナルチームディレクターに男子セブンズユースやU20のヘッドコーチ、女子ヘッドコーチを務めた徳永剛氏を任命した。

セブンズ日本代表のTDとして新たな役目を担うのは、サイモン・エイモー元男子セブンズ英国代表ヘッドコーチだ。

ロンドン出身の42歳は現役時代には15人制と7人制の両方を経験し、15人制でロンドンアイリッシュ、グロスター―、ロンドンワスプス、ロンドンスコティッシュでプレーを重ねた間に、7人制でも2001年から2007年まではイングランド代表でキャプテンを務め、2004年にはワールドラグビーのセブンズ年間最優秀選手賞を受賞した。

指導者としても15人制でロンドンスコティッシュでプレーヤーコーチを務めて以降、同クラブのディレクターオブラグビー(DOR)、2020-2021年には15人制イングランド代表ではアタックコーチを務めてエディ・ジョーンズ監督を支えて、シックスネーションズとオータムネーションズカップ優勝に貢献した経歴の持ち主だ。

7人制では2009年女子イングランド代表や2016年男子英国代表のヘッドコーチ、2013年から2020年にはヘッドオブイングランドセブンズを歴任。その間に2016年リオデジャネイロ・オリンピックで銀メダル獲得。イングランド代表もHSBCワールドラグビーセブンズシリーズ2016-2017大会で総合2位、2018年ワールドカップセブンズで準優勝を収めるなど好成績を残した。

 その実績を見込んだ日本協会の中山光行ラグビー担当事業遂行責任者は、「パリ五輪に向けた強化の重要ポイントの一つとして、世界的知見を取り入れることを挙げ、実績と指導経験の豊富なサイモン・エイモー氏をテクニカルディレクターとして招聘することとした」と説明。強化計画、国際傾向の分析やスタッフ育成などを担当するほか、男女セブンズ代表ヘッドコーチらに助言や必要に応じた指導も行う予定としている。

 エイモー新TDはセブンズ日本代表について、「これまで見てきた限り、男女どちらのチームも大きなポテンシャルを持っている。そのポンテンシャルを十分に発揮できるよう、コーチやサポートスタッフ、選手の皆さんとともに取り組んでいけることを楽しみにしている。オリンピックやワールドラグビーの大会で、メダルを狙える強豪国を目指す日本協会の戦略をサポートできることも楽しみ」と、日本協会を通じてコメントした。

 日本協会はまた、セブンズで選手育成に携わり、2018-2019年には女子セブンズ代表ヘッドコーチをも務めた徳永剛氏をセブンズ日本代表のナショナルチームディレクターに任命。併せて、女子セブンズ代表ヘッドコーチに鈴木貴士ヘッドコーチ代行の昇格を決定したが、男子は梅田紘一ヘッドコーチ代行の継続を発表した。

 徳永ナショナルチームディレクターは、「男女セブンズ日本代表が2024パリ大会で満開の桜を咲かせることで、今後の日本のセブンズラグビーがさらに発展していけるように、精一杯努力していく」と話している。

 セブンズ日本代表は男女とも今夏の東京オリンピックに出場したが、男子は12チーム中11位、女子は最下位の12位で終了。男子はリオ大会の4位から大幅に順位が落ちた。

その後、男子は来年9月にケープタウンで開催されるラグビーワールドカップセブンズ2022への出場権獲得を逃した。HSBCワールドシリーズには今季から復帰しているが、11月末の第1戦では12位、12月上旬の第2戦では11位と苦戦している。

一方、女子は鈴木ヘッドコーチ代行の下で、アジアセブンズシリーズ優勝でワールドカップセブンズへの出場権を獲得した。しかし、ワールドラグビーセブンズシリーズには2017-2018大会を最後に、コアチーム昇格から遠ざかっている。

 パリ・オリンピックまで3年。新たなポストを設けたアプローチで代表チームの構築と躍進を目指す。