• 自分の健康や脳の健康に不安を感じている現役および元エリートプレーヤーを教育、サポートするというコミットメントを反映した新たな取り組み ― 「ブレインヘルス・イニシアチブ」
  • この世界的なキャンペーンで新たな動画も作成され、第一人者の専門家たちが、認知症に関する修正可能な12の危険因子について、また、これら危険因子の多くを減らすためにラグビーが果たすことのできる積極的な役割について説明
  • ワールドラグビーの医療委員会コンファレンスで発表されたこのキャンペーンは、ラグビーファミリー全体でプレーヤーの福祉を向上させるために、ワールドラグビーが加盟協会、地域の医療機関、脳の健康の専門家と継続的に連携している取り組みの一環
  • ワールドラグビーは無料のブレインヘルスクリニックのモデルを支援し、元エリートプレーヤーが専門家による相談、臨床評価、アドバイスを受けることができるようにする
  • 長期的な目標は、ラグビーに関与している人もしていない人も含めたより広範なコミュニティーのための脳の健康のアンバサダーを育成すること

ワールドラグビー、各国の協会、国際ラグビー選手会は、ラグビーファミリーに向け脳の健康の重要性を啓蒙するためのグローバルな教育キャンペーン「ブレインヘルス・イニシアチブ」を本日より開始します。

まず現役および引退したプロ選手を対象とするこの画期的なキャンペーンは、ロンドンで開催されたワールドラグビー医療委員会コンファレンスで発表されました。このキャンペーンは、加盟団体や独立した科学・医学の専門家、脳の健康に向けた医療や社会的ケアを専門的に提供している地域の医療機関など、ワールドラグビーが継続的に連携していることを反映したものです。これはまた、ラグビーというスポーツを、プレーヤーウェルフェアにおいて最も進歩的なスポーツとして維持するというワールドラグビーの目標を反映しています。

脳の健康に影響を及ぼし、認知症になるリスクに影響を与える12の「修正可能な危険因子」があります。これらの危険因子には、運動不足、社会的接触の欠如、うつ病、心臓疾患、脳損傷などがあります。

Rugby and Brain Health
A short film on Rugby and Brain Health hosted by IRP representatives Sene Naoupu and Dr Jamie Roberts joined by brain health experts from around the world.

ワールドラグビーのキャンペーンの中心となるのは教育ビデオで、この分野の第一人者であるクレイグ・リッチー教授(エジンバラ大学加齢精神医学教授)、ウィリー・スチュワート教授(グラスゴーのクイーン・エリザベス大学病院コンサルタント神経病理学者)、フィオナ・ウィルソン博士(トリニティ・カレッジ・ダブリン医学部准教授)、カレン・BK・チャン(感情リテラシー専門家)が出演しています。ビデオでは、元選手や現役選手が、認知症において現在わかっている12の修正可能な危険因子に関する情報を利用し、脳の健康を最適化する方法を説明しています。また、脳の健康に不安がある場合、どこに相談すべきかについての情報も提供しています。

ブレインヘルスのビデオはこちらからご覧ください>>

クレイグ・リッチー教授は次のように述べています。「長期的な認知機能の健康は非常に複雑で、認知症は必ずしも1つの要因の結果ではありません。脳の健康を優先することで、認知症やその他の脳の変性疾患の発症リスクを減らすことが可能であることを、ラグビー関係者が理解することが重要です。引退したラグビープレーヤーも現役ラグビープレーヤーも、健康とフィットネスを維持し、ストレス、不安、うつに対処することで、特定のリスク要因を減らすことができます。一方、ラグビー界は、ゲームのあらゆるレベルと段階において、プレーヤーの頭部衝撃のリスクを減らすことを優先し続けています。」

この新しいビデオ教材は、ワールドラグビーの脳の健康に対する幅広い取り組みの一環であり、このほかに、元選手が無料で専門家による相談、アドバイス、臨床評価を受けることができるブレインヘルス・クリニックの支援も行います。このアプローチは、元選手が抱える症状の原因を特定し、スポーツにおける脳の健康状態を改善する新しい方法を見つけることを目的としています。長期的には、これからラグビーを始めようとしている若いプレーヤーたちのロールモデルを育成し、ラグビー以外のコミュニティにも広く価値のあるサポートを提供することを目指します。

ウィリー・スチュワート教授は次のように述べています。「これはワールドラグビーが行っている非常に重要な活動であり、世界中のラグビー、またそれ以外のスポーツにも確かな恩恵をもたらすに違いありません。」

「トレーニングや試合の方法の変更を通じ、現役、また今後のプレーヤーのリスクを軽減するための取り組みが進められている一方で、引退した元プレーヤーの脳の健康を見落とさないことも重要です。この取り組みは、私たちの脳の健康の重要性と、認知症のリスクを減らすために私たちが講じることのできる措置について強調するものです。」

ワールドラグビーのサー・ビル・ボーモント会長は次のように述べています。「私たちは、ラグビーファミリーのすべてのメンバーを非常に大切にし、プレーヤーを保護しサポートするために常に努力しています。私たちは、すべてのプレーヤーの福祉を向上させるために、進化する科学と証拠に基づき、一貫して行動してきました。」

「最近、引退したプレーヤーの体験談が勇気を持って語られているのを見て、悲しくなりました。私自身も元選手であり、脳の健康に不安を感じる選手がいることを理解しています。私たちは、そのようなプレーヤーをプレーヤーウェルフェア計画の中心に据える必要がありますし、そうしています。脳の健康は、フィールド上で起こることよりもはるかに幅広く、私たちが想像する以上に自分でコントロールすることができます。コミュニティを作り、会話を始め、長期的なウェルビーイングにプラスの影響を与えるような生活習慣の変化について理解してもらうことが大切です。同時に、私たちはゲームを進化させ、プレーする人たちを最高の状態で保護できるようにするために、じっとしてはいられません。」

「世界中にブレインヘルス・クリニックを設立し、誰でも見ることができるビデオ教材や質の高いケアとサポートを提供することで、ラグビーを始めたばかりのプレーヤーやクラブで活躍している選手、キャリアを終えようとしているプロの選手、引退したプレーヤーなどさまざまなラグビーファミリーのメンバーに、この複雑で困難なテーマについてよりよく理解してもらうことができます。私と一緒に、プレーヤーの皆さんが「ブレイン・ヘルス・イニシアチブ」に参加して、ラグビーと日常生活の両方で活躍していただけることを願っています。」

国際ラグビー選手会の戦略的プロジェクトおよびリサーチの責任者であるセネ・ナウプ氏は次のように述べています。「私たちは、損傷予防とプレーヤーの生涯にわたる継続的なサポートの両面から、脳震盪の管理に取り組んでいます。ワールドラグビーと国際ラグビー選手会が連携して取り組んできたイニシアチブで、ラグビーが盛んな地域にブレインヘルス・クリニックが設置されたことは、正しい方向への大きな一歩であることは間違いありません。 今後も、引退したプレーヤーへのサービスを向上させ、必要としている人たちが可能な限りケアを受けられるようにしていきたいと考えています。」

この新しい取り組みは、ワールドラグビーの「プレーヤーウェルフェア戦略6項目」に基づいており、元プレーヤーへのアフターケア、科学と研究に基づく革新、幅広い教育的取り組み、ラグビーファミリーとのオープンな関わりなどを重点分野としています。

ワールドラグビー医療委員会コンファレンスでは、医学者、研究者、スポーツ科学者、プレーヤー、コーチをウェビナー、ワークショップ、パネルなどのプログラムに招待し、プレーヤーウェルフェアにおける「ベスト・プラクティス」を128の加盟協会全体で推進することを目的としています。