• ゲームによって開発されたゲームのための6つのアクションプランの中心には、元プレーヤー、現役プレーヤー、そして女子ゲームに特化しフォーカスを当てた取り組み
  • ワールドラグビーは、ゲームの将来的な成長を確保するために、継続的にエンゲージメントを図り、耳を傾け、協議を行う - ゲームに関わるすべての人が発言の機会と果たす役割を持つ。
  • 計画を実現するための最初の一連の取り組みには、8月1日から導入される、プレーヤーウェルフェア(身の安全・福祉)に引き続き焦点を当てた新たな世界的試験実施ルールや、エリートゲームの段階的競技復帰プロトコルをサポートする第三者脳震盪コンサルタントの導入などがあります。
  • ワールドラグビーのサー・ビル・ボーモント会長がラグビーファミリーに向けて公開書簡を発表

ワールドラグビーと各国協会が本日発表した、ラグビーにおけるプレーヤーウェルフェア(身の安全・福祉)の向上を目指す新たな6項目計画では、元プレーヤーのウェルフェア、女子ラグビー、またコミュニティゲームに重点が置かれています。

進化したこの計画の中心となるのは、ウェルフェアに関する主要な課題について、ラグビーファミリーと幅広く関わり合っていることを約束するものです。この計画には、将来のプレーヤー、現在のプレーヤー、元プレーヤーという、プレーヤーの生涯を通じた取り組みが含まれます。また、エリートゲームとコミュニティゲームの間には、ゲームの形や損傷のリスクに違いがあることを認識し、あらゆるレベルにおけるゲームで損傷を減らすことを目指します。

この計画は、ワールドラグビーと各協会の強固な基盤をさらに確固なものにし、科学、また関係者とのやりとりに基づいたアプローチで、プロフェッショナルおよびコミュニティゲームの現役プレーヤー、女子ゲームのプレーヤー、そして元プレーヤーの福祉を向上させ、ラグビーにおける頭部損傷の影響を理解することを目的としています。確固たる科学的証拠と、プレーヤー、元プレーヤー、ファン、クラブ、ユニオン、リージョンなどのラグビーに関わるあらゆる人々の声に耳を傾け、また協議を行いながら、この計画における取り組みを実施していきます。

ワールドラグビーの会長であり、元ブリティッシュ・アンド・アイリッシュ・ライオンズとイングランド代表のキャプテンを務めたビル・ボーモント卿は、ラグビーファミリーに向けた公開書簡の中で、この計画について次のように述べています。「ラグビーを発展させるためには、プレーヤーウェルフェアを最優先に考え続けることが重要であると確信しています。ラグビープレーヤーのウェルフェアは常に我々の最優先事項であり、本日発表する計画はそのコミットメントを明確にするものです。」

「この計画は、ゲームによるゲームのための計画であり、その中心にあるのが協議です。私たちは、現役および元プレーヤー、ファン、組織との最近の建設的な対話を今後も継続し、私たちが愛するゲームの未来をどうやって確保するかについて、全員の意見を聞きたいと考えています」と述べています。

ワールドラグビーの行動計画は基本的なコミットメント6項目に基づいて策定されています:

元プレーヤーに焦点を当てる:健康に悩む、または懸念を抱いている元選手のためのケア、情報、サポートのベスト・プラクティスを進める。

科学と研究に導かれたイノベーション:ワールドラグビーは、スポーツにおける脳震盪に関する様々な科学的見解をまとめ、常に科学的な新知見から学び、特にラグビーにおける脳震盪と頭部衝撃に関する研究の投資を集中させていきます。これは、プレーヤーの身の安全を向上させ、頭部損傷評価、そして段階的競技復帰プロトコルの適用を最適化するための研究と技術へのさらなる投資を行なっていくということを意味します。

プレーヤーを保護するための競技規則の見直しと進化の継続:本日発表された2つの取り組み(世界的な競技規則の試行と独立した脳震盪コンサルタントの導入)は、この分野で計画されている一連のアクションの最初のものです。これには、コミュニティーレベルでのより柔軟なアプローチに特化した取り組みや、今年後半に開催予定のゲームに関するグローバルフォーラムなどが含まれ、コミュニティーおよび19歳未満レベルで必要な調整を行うためにニュージーランドのオタゴ大学が行った画期的な研究の結果に基づいた活動などが含まれます。以下のワーキンググループがそれぞれの専門分野を引き続きモニタリングしていきます:「ヘッドコンタクトプロセス」、「ブレイクダウン」、「TMO」、「スクラム」、「コミュニティーラグビーの競技規則」。

女子ラグビーに特化した取り組み:女子ラグビーの成長の可能性とそのユニークな特徴の両方を認識する。対策としては、コミュニティーやエリートレベルの女子ラグビーに関する専門的研究への投資や、女子ゲームに特化した競技規則の見直しなどがあります。

教育への継続的な投資:頭部への衝撃やプレーヤーウェルフェアに関する情報、ツール、リソースの提供を、ゲームに関わるすべての人へ行うよう強化していきます。これには、新しい頭部損傷教育プログラムとアプリ「Recognise and Remove(認識し退出させる)」、全レベルのゲームを対象としたベストプラクティス安全タックル技術プログラム、脳震盪と傷害予防の効果が証明されている損傷予防ウォームアッププログラム「Activate」の全協会・全リージョンでの展開が含まれます。

ラグビーファミリーとのオープンな関わり:私たちは、男子・女子ラグビー共にコミュニティーとプロレベルのゲームとの協議を広く深く行なっていきます。ラグビーファンやプレーヤーとの接点を持つために、従来とは異なる経路やプラットフォームを活用する場合もあります。

ワールドラグビーは、この計画を具体的に実現するための2つの取り組みについて発表しました。その1つが、8月1日から全世界で実施される、ウェルフェアを中心に考えた一連の試験的ルールで、50:22ルール(敵陣22mに入ったボールがバウンドしてタッチに出た場合、攻撃側がラインアウトを確保する)などの試験的ルールが含まれています。

2つ目は、ラグビーの段階的競技復帰プロトコルを10日以内に完遂したプレーヤーの競技復帰の適性を評価する第三者脳震盪コンサルタントプログラムへのワールドラグビーからの資金提供です。第三者脳震盪コンサルタントは、対戦する2チームと関係を持たない独立した医師となります。今後、それぞれ6つの柱に関する重要な発表が行われます。

ワールドラグビーの最高責任者であるアラン・ギルピンは次のように述べています。「私たちの使命は、すべてのレベルのプレーヤーの身の安全・福祉に関して、最も進歩的でオープンかつ協力的なスポーツになることです。これは、今年初めに発表した我々の戦略的計画に組み込まれており、また本日スタートする計画の中心を成しています。簡単に言えば、私たちは、すべてのレベルのすべてのプレーヤーのためになり得るラグビー、を目指しているのです。」

「 私たちは、強固な基盤をさらに強化し、選手、ご両親、ファンの皆様に、私たちがラグビーファミリーを大切にしていること、そして、すべてのレベル、男女を問わず、すべての人にとって安全で参加しやすいスポーツにするために、最新の科学、研究、データに沿って行動していることをご理解いただきたいと思います。ラグビーは、プレーする人の健康やウェルビーングに大きなプラスをもたらすスポーツであり、より多くの人にラグビーを体験してもらいたいと思っています。良いアイデア、研究、経験を持っているのは私たちだけではなく、ラグビーファミリーの皆さまのご意見に耳を傾けたいと望んでいます。」

ゲームによる、ゲームのために開発されたこの行動計画は、プレーヤーウェルフェアに対するワールドラグビーの強固な基盤とコミットメントに基づいています。ワールドラグビーは、そのコミットメントを実現するために、各国の加盟協会、リージョン、プレーヤーグループと連携し、ラグビーをすべての人にとって最高のものにするために、ゲーム全体が発言し、役割を果たしていきます。

ラグビーの福祉向上への揺るぎないコミットメントは、世界的、また国ごとに実施されている数多くの変革的プログラムを通じて、あらゆるレベルのラグビーに組み込まれています。

フランスでの同様の取り組みを反映して、RFUはコミュニティレベルにおいて、2021/22年の間に、16歳以下から18歳以下の学年の約1,200試合で、腰の高さのタックル法のバリエーションと、ボールキャリアが頭に接触するレイト・ディッピング/リーディングの制限を実施し、評価します。

ワールドラグビーがオタゴ大学と共同で実施した、男子、女子、年齢別コミュニティーレベルラグビーで発生する頭部衝撃に関する史上最大規模の研究 を踏まえ、RFUは来シーズンのギャラガー・プレミアシップでトレーニングや試合中に起こる頭部接触を測定するために計測器付きマウスガードを使用することになりました。

RFUとバース大学が開発した損傷予防のためのラグビー準備運動プログラムActivateは、現在、世界中の100以上の加盟協会で導入されていますが、ワールドラグビーはラグビーにおけるリスクをさらに軽減するため、ゲーム全体を対象としたタックルテクニックのベストプラクティスプログラムをまもなく開始する予定です。

ボーモント会長からのメッセージ>>

編集者への注釈

行動計画のハイライト

  1. プレーヤーの引退後のケア

プレーヤーはブーツを脱いだからと言ってラグビーファミリーの一員でなくなるわけではありません。独立した専門家や選手団体と協力して、健康に不安のある元選手をサポートする取り組みを推進していきます。

ワールドラグビーは、国際ラグビー選手会と協力して、精神面でのケア、トレーニングや教育、スポーツの将来に関する相談など、ラグビープレーヤーとしてのキャリアを終えようとしている選手をサポートするさまざまな取り組みやプログラムを行っています。

ワールドラグビーは、ガバナンス、コーチング、審判、管理など、ラグビー界のさまざまな分野でキャリアを積もうとしている女性たち(引退したプレーヤーを含む)を対象としたエグゼクティブ・リーダーシップ・スカラシップ・プログラムを今後も拡大していきます。

  1. 頭部衝突の軽減

成人および年齢別コミュニティーラグビーにおける頭部衝突の頻度と性質を分析するために、ニュージーランドのオタゴ大学とPrevent Biometrics社が画期的な共同研究プログラムを実施しています。

この種の研究では最大規模となる700人以上の男女プレーヤーが加速度計を搭載したマウスガードを装着します。このマウスガードは、衝突が発生する度それをカウントし、その衝突の負荷、部位、方向、直線および回転運動についての情報をリアルタイムで収集し、ワイヤレスで送信するデータ収集システムが内装されています。

  • オタゴ大学で行う一定条件下で収集されたデータを、タイムコードを埋め込んだ映像と組み合わせて分析するという、スポーツ界でのデータ収集では世界最大規模の比較可能データバンクを作成することが可能となります
  • この査読済み研究は、ラグビーファミリーを教育し、頭部衝突を軽減するための取り組みを推進していくためのエビデンスに基づいたエビデンスに基づいた知見を提供してくれます。

ワールドラグビーは、各協会と協力して、ラグビーで発生する頭部衝突を軽減するというミッションを支援し、最も安全なタックルの技術を奨励することを目的としたベストプラクティス・タックル準備プログラム「Tackle Ready」を開始します。

ワールドラグビーは、今後も「ヘッドコンタクトプロセス」の、ラグビー全体での首尾一貫した適用を促していきます。今年初めに開始されたこのプログラムは、ラグビーにおけるあらゆる種類の頭部接触に対する制裁の枠組みを提供することで、プレーヤーの行動をポジティブに変化させることを目指し、ラグビーにおける頭部衝突の頻度を減らすことを目指します。

  • ワールドラグビーは、HCPコーチング介入のグローバルパイロットを開始します。これは、頭部接触による反則行為に対して課された制裁の1週間の出場停止を利用し、第三者専門家パネルによる技術評価を受けることで、プレーヤーが安全なテクニックに集中できるよう奨励するというものです。
  1. 脳震盪管理

ワールドラグビーは、独立した第三者脳震盪コンサルタントとして国際的な専門家パネルを選出し、エリートレベルのプレーヤーが10日以内に競技復帰できるかどうかを検討します。また、プロトコルを完遂して競技復帰したプレーヤーでも、脳震盪や病歴によりリスクが高いと判断された場合は、第三者脳震盪コンサルタントが依頼を受けます。

頭部外傷評価(HIA)プロセスを継続的に見直し、進化させるという継続的なコミットメントを反映して、医療従事者が脳震盪を特定するための客観的なツールとして、最新のアイトラッキング技術を引き続き検討していきます。

  • スーパーラグビー「トランス・タスマン」での試験的な導入の成功に続き、2021/22年にかけて、バーチャルリアリティ技術「ニューロフレックス」の研究をエリート大会でも導入します。
  • 2021/22年のエリート大会では、「アイガイド」テクノロジーの評価も並行して行う予定です。

ラグビーの国際大会で最も徹底したウェルフェア基準を提供するという野心を持って、ラグビーワールドカップ2021(2022年に開催)では、頭部外傷評価プロセス、ビデオレビュー、第三者脳震盪コンサルタントを含むプレミアムトーナメントウェルフェア基準を導入し、ラグビーワールドカップ2023もそのモデルを踏襲する予定です。

女性のゲームに特化した取り組み

女子ラグビーは世界的に急速に成長しており、変革をもたらす2017-25 ワールドラグビー・女子ラグビー戦略に沿って、女子ラグビーは男子競技で行われていることを真似るのではなく、独自の道を歩むことができるはずであり、またそうすべきであると認識しています。

  • 競技規則の見直しプロセスにおいて、女性たちと少女たちのためのゲームを実現するため、女子ラグビーに特化した取り組みを行います。
  • 損傷リスクを軽減するために、女子ゲーム専門の損傷調査を進め、その結果に応じた対応を行います。
  • オタゴ大学の頭部衝突に関する研究の結果やタックル技術の教育を含む女性特有の損傷予防プログラムを実施するためのスワンジー大学の研究結果に基づき行動します。

すべての行動を含む6項目のウェルフェア強化アクションプラン

  1. 引退したプレーヤーのキャリア後のケア
  • 脳の健康とウェルビーイングに特化し独立した医療専門家、協会、また選手会と連携します。
  • 元プレーヤーの声に耳を傾け、今後のウェルフェアの発展に向けて連携します。
  1. 頭部衝撃防止、技術革新、研究
  • 私たちは、エリートラグビーにおける6段階の「段階的競技復帰」プロトコルの成功を踏まえ、ゲーム全体において第三者脳震盪コンサルタントを導入します。

オタゴ大学の計測器付きマウスガードを使用した頭部衝突研究など、さまざまな研究に投資し、研究結果をコミュニティーラグビーや年齢別ラグビーにおける損傷予防戦略に反映させます。

  • 最新のアイトラッキング技術など、最も革新的な技術を応用して、エリートゲームにおける脳震盪の客観的な特定を進め、頭部外傷評価プロセスに反映させます。
  1. ウェルフェアを中心に考慮した競技規則の見直し
  • 8月1日からウェルフェアを中心とした世界的な試験的ルール実施し、データを解析します。
  • 次のサイクルでは、ウェルフェアが競技規則見直しにおけるの主な原動力となります。
  • 国際ラグビー選手会と連携し、ゲーム全体におけるコンタクトトレーニングの負荷の再調査を行い、その結果からウェルフェア強化の可能性を探ります。
  1. 女性のゲームに焦点を当てる
  • ウェルフェアを中心に考えた競技規則の見直しプロセスにおいて、女子ゲームに特化した取り組みを開始します。
  • 年次損傷調査に加え、女子ゲームに関する研究投資を増強します。
  • 女子ラグビーワールドカップでHIAプロセスを実施し、脳震盪の識別、予防、管理を支援する技術の試験的導入の実現可能性を検討します。
  • オタゴ大学の頭部衝突に関する研究結果を、女子ゲームに特化した損傷予防戦略に反映させます。
  1. ゲーム全体におけるインパクトのある教育プログラムに対する投資を継続する
  • ゲーム全体における脳震盪教育プログラムを改良します。
  • ゲーム全体において、「タックルレディ・ベストプラクティス・タックルテクニック」プログラムを開始します。
  • 「Activate損傷予防プログラム」を世界全体で採用させます。
  • ワールドラグビーの「タックルレディ」プログラムを実施し、プレーヤーのポジティブな行動変革を促し、「ヘッドコンタクト・プロセス」の技術介入プログラムを支援します。
  1. ラグビーファミリーとの継続的なエンゲージメントと連携
  • 私たちは、ラグビーファミリーの一人一人がラグビーの将来を大切に考えていることを知っています。だからこそ、将来のラグビーを形作る上でファミリーの皆さまの参加を歓迎します。
  • 私たちの行動についての情報を深く幅広く広め、皆さまの声に耳を傾けていきます。
  • できるだけ多くのラグビーファン、そしてプレーヤーにリーチできるよう、従来とは異なった新たなコミュニケーションの方法やプラットフォームを活用します。