アメリカ大陸ではまだラグビーワールドカップを開催したことがありませんが、 Rugby Americas North (RAN:北米ラグビー協会) とSudamerica Rugby (SAR:南米ラグビー協会)の二つのリージョンはそれぞれ豊かな大会史と、幾人ものカリスマプレーヤーを産出してきた地域です。

1987年に開催された第1回ラグビーワールドカップ以来、アメリカ地区からはアルゼンチン、USA、カナダ、そしてウルグアイの4チームが出場してきました。まさにハイライトとなった瞬間は、アガスティン・ピチョット率いるロス・プーマス(アルゼンチン代表)が2007年のフランス大会で3位に輝いた時でした。

ラグビーワールドカップ2019大会の結果上位12チームの一つに終わったアルゼンチンは、大会終了と同時にラグビーワールドカップ2023の出場権を確保しています。しかし、アメリカ地区から出場する残り2チーム、または3チームが決定するまでにはまだ18ヶ月以上残っています。それまでどんなことが起こるかとても楽しみです。

France 2023への第一歩

その他のアメリカ地区候補チーム、チリ、ブラジル、パラグアイ、そしてコロンビアはこれからの数ヶ月間に地区予選プロセスの旅が始まり、ラグビーワールドカップ出場権を手にするまで、新たなヒーローと物語が生まれることでしょう。

6月26日にブラジルがホストとなるパラグアイ戦が、1週間後の7月3日にチリではコロンビア戦が行われます。両対戦で勝利を収めたチームが7月11〜25日に開催するSAR 3ネイションズ大会の総当たりリーグ戦に参加します。

3ネイションズの勝者がSAR 1(南アメリカ地区1)代表となり、10月2日と9日にRAN 1(北米地区1)のUSAかカナダのいずれかと対戦し、ラグビーワールドカップ2023大会では、ニュージーランド、開催国フランス、イタリア、そしてラグビーアフリカカップ 2022(アフリカ地区1)のチャンピオンと同じプールに入って競う権利を手にすることになります。

SAR 3ネイションズで2位に終わったチームはRAN 2と対戦する機会を得て、アメリカ地区2のプレーオフを目指します。この2戦を勝利したチームはアメリカ地区1のプレーオフで2位になったチームと対戦します。この戦いに勝ったチームはアメリカ地区2としてラグビーワールドカップ2023出場権を獲得し、プールDでイングランド、日本、アルゼンチンそしてオセアニア1と対戦します。

2022年11月に行われる最終予選大会で決定する最後の出場枠は、アメリカ地区2のプレーオフで2位に終わったチームに与えられる最後の復活チャンスです。ここでは、ラグビーヨーロッパチャンピオンシップで3位となったチーム、アジア/パシフィックのプレーオフの敗者、そしてラグビーアフリカで2位となったチームが、France 2023への最後の出場権を獲得します。

ラグビーワールドカップ2019大会以来、着実にアメリカ地区の予選プロセスに参加してきたチームにとって、予選プロセスのパスウェイに関する明白なガイドがなく、このプロセスがどのように進んでいくのかについて見当を立てることが簡単ではありません。

しかし、ラグビーワールドカップ2019大会ではフィジーを破るという大挙を成し遂げ、France 2023の出場権を獲得するために必死の戦いを繰り広げることが予想されるウルグアイは、ワールドラグビー男子ランキング  では一つ上位に位置しているUSAと共に、アメリカ地区1枠を獲得する可能性が高いチームと見られています。

国境を隔てたライバルの戦いが再燃

ラグビーワールドカップ1991でベスト8に進出するなど、ラグビーワールドカップの出場実績を誇るカナダも、前回の大会で史上初めてアメリカ地区1枠の座を奪われたUSAに対して闘志を燃やしています。

また、ラグビー新興国として力をつけているブラジルにも注目です。2試合シリーズでポルトガルに敗れはしたものの、ラグビー伝統国以外で、これまでの18カ月間で試合をしている数少ないチームの一つです。

44年に亘り隣接国ライバルとして激しい戦いを続けているUSA(世界ランキング16位)とカナダ(23位)の北米地区1枠を賭けたホーム&アウェー戦が9月4日と11日に予定されており、パンデミックによる規制状況により実施の可否が確定することになっています。カナダはまず、ホーム戦でUSAを迎え、決戦となるアウェー戦をアメリカ合衆国で戦います。両試合の会場については決定次第発表されます。

USAは2017年の北米枠をかけた最終予選での2戦を80-44で勝利。カナダ代表はその時に味わった苦渋を忘れてはいないはずです。

「オーストラリアとニュージーランド、そしてイングランドとウェールズのように、アメリカは隣接国として私たちが常に優劣を測っている相手です。」と語るのはカナダのレジェンド、アーロン・カーペンター氏。2020年にワールドラグビーがオンタリオ出身のカーペンター氏に話を聞きました。

「今回はUSAに勝つことができると思います。しかし、最早我々2チームだけのレースではありません。ワールドカップで実力を披露したウルグアイも素晴らしいラグビーチームです。私たちはウルグアイからも目を離すことはできません。」

前回に比べ、次回のラグビーワールドラグビーカップへの予選プロセスはわかりやすく、カナダ代表を応援しているサポーターからも歓迎されています。Japan 2019の予選では、アメリカ地区1とアメリカ地区2のプレーオフでUSAとウルグアイに勝ち、更に、マルセイユでの最終予選大会で香港、ケニヤ、ドイツを相手に、RWC 2019の出場権獲得第20チーム目、最後の出場権を賭けた大きなプレッシャーの中で戦わなければなりませんでした。

ラグビーワールドラグビーカップ2023予選プロセスのパスウェイに関する詳しい情報は ここから、またニュースや全試合日程は公式ラグビーワールドカップウェブサイト でご覧いただけます。

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