ホワイトカンファレンスでともに3戦全勝のパナソニック・ワイルドナイツとNTTドコモレッドハリケーンズがドコモの地元で対戦。5度目の優勝を狙うパナソニックが26-13で勝利を収めたが、TJ・ペレナラ選手を中心にまとまったドコモの激しい抵抗を受け、ハードな試合になった。

 前半は特に、ホームのドコモが攻撃を仕掛けてパナソニックが固い守備で対応。ドコモは34分にFL杉下暢選手がトライを決めて7-3と逆転し、その後1トライ1コンバージョンを許して7-10と折り返したが、後半開始早々にSOオーウェン・ウィリアムス選手のPGで同点に追いついた。

しかし、その直後にパナソニックがWTB竹山晃暉選手のトライで再び先行。さらにその後2本のPGを加えて21-13とすると、後半終盤に日本代表WTB福岡堅樹選手が左サイドで鋭いスピードと絶妙のキックで相手を振り切ってインゴールに飛び込んだ。俊足ウィングの2戦連続となるトライがダメ押しとなり、パナソニックが開幕からの連勝を4に伸ばした。

昨季との違い

 昨季、コロナ禍で打ち切りとなる直前の両者の対戦ではドコモの3-40。チームの陣容も大きく変わった今季、勝ちを手にすることはできなかったが、4度優勝のリーグ屈指の強豪に過去のシーズンとの違いを見せた。

 杉下選手は昨季からの違いについて、「守備がかなり向上した。そこが3連勝につながっていると思う」と話し、今季4年目となるドコモ主将のLOローレンズ・エラスマスは、パナソニックと渡り合ったFWの競り合いに「かなり自信がついた」と手ごたえを示した。

対戦したパナソニックのHO坂手淳史選手には、ドコモは「コンタクトレベルが高く、9番、10番を中心に全員の意思統一ができている。チームとしてやるべきことを理解している」と言わしめた。

 そのドコモの9番を務めたペレナラ選手は、「パナソニックは非常に良いチーム。特に前半は相手の守備がよくて、厳しかった」と相手を称えた。

一方で今季加入したオールブラックスSHは、相手陣内深くに攻め込む展開を作りながら得点に結びつかなかった点に言及。「パナソニックのような質の高いチームとの対戦では、プレッシャーをかけたら、しっかり得点を獲って終わらなければならない。22メートル内に入ったのに、それができなかった」と指摘した。

コロナ禍で入場人数制限がある中、大阪長居のヤンマーフィールドには4,735人のファンが駆けつけて、両チームのプレーに熱い視線を送った。

ペレナラ選手は、「毎週試合があることが嬉しい」と語り、「しっかり休んでリカバリーして、課題を修正して次の試合へ臨みたい」と今後へ目を向けていた。

後半の違い

ドコモを率いるヨハン・アッカーマンヘッドコーチも、前半の好プレーから一転してペナルティが増えた後半について、「相手は固い守備でミスを誘う。それをやられてしまった」と残念がった。

パナソニックは後半、相手を上回って勝利につなげたが、日本代表HO堀江翔太選手をはじめ、サンウルブズ経験者のPR平野翔平選手やSO山沢拓也選手らを次々とベンチから投入。ロビー・ディーンズ監督は、「我々はベンチに大きな信頼を置いているし、選手もその期待に応えてくれた」とベンチスタートの選手のハードワークを称賛。「80分間相手のプレッシャーをかけ続けてくれた」と話した。

後半早々からピッチに立った堀江選手は、レフェリーとのコミュニケーションが巧みなペレナラ選手を警戒。相手に有利に持って行かれないように対応に努めたと明かした。

 これでパナソニックはホワイトカンファレンスで無傷の4連勝。この日、リコーブラックラムズに20-19の辛勝で4連勝とした神戸製鋼コベルコスティーラーズと首位を争っている。今季初黒星のドコモは3位。

 キヤノンイーグルスは、ヤマハ発動機ジュビロに40-32で勝って今季初白星を手にしたが、今季限りで引退を表明しているヤマハのFB五郎丸歩選手はホームでの最後の試合を勝利で終えることはできなかった。NECグリーンロケッツ対日野レッドドルフィンズの試合は13日の荒天で中止順延となった。

 レッドカンファレンスでも同日、東京の秩父宮で予定されていた東芝ブレイブルーパスと3連勝で首位に立っていたサントリーサンゴリアスの対戦が、雷雨のために中止順延となった。

この間に試合のあったクボタスピアーズはホンダヒートに38-7で快勝。宗像サニックスブルースに61-29で大勝したトヨタ自動車とともに、4連勝で同カンファレンスのトップに立った。

元ニュージーランド代表主将のキアラン・リード選手とオーストラリア代表主将のマイケル・フーパ―選手が8番、7番を付けて先発したトヨタは、チーフスから加入のSOティアーン・ファルコン選手が2トライ7コンバージョンで24得点を叩きだし、リード選手が今季初トライをマークした。

NTTコミュニケーションズ・シャイニングアークスは、三菱重工相模原ダイナボアーズと26-26で引き分けた。ホンダと宗像は、どちらも初勝利が待たれる。