ホワイトカンファレンスで開幕から2連勝と好調のドコモは、大阪の花園ラグビー場で1勝1敗のリコー・ブラックラムズと対戦。戦術的理由でここまで出場機会がなかった新加入の南アフリカ代表WTBマカゾレ・マピンピ選手が初先発初出場。デビュー戦で1トライをマークし、TJ・ペレナラ選手の決勝トライをお膳立てした。

 ドコモは前半、リコーの粘り強くハードな守備に苦戦しながらも相手の攻撃を阻止し、試合は開始から20分まで互いに得点を譲らない緊迫した展開となった。

0-5ビハインドの前半33分に、ドコモPR金廉選手がイエローカードを受けて数的不利になる時間帯もあったが、ハーフタイム直前にWTB小林正旗選手が自陣で相手パスをインターセプトして独走。そのままラインを超えて同点とし、コンバージョンも決まってドコモが7-5と逆転した。

 前半は2019年ラグビーワールドカップで南アフリカ代表の優勝に貢献した俊足を活かせる場面がなかったマピンピ選手だったが、後半開始直後に左サイドで抜け出したCTBパエアミフィポセチ選手からパスを受けてタッチライン沿いを疾走。12-5としてドコモのリードを広げた。

 反撃を試みるリコーに対して、存在感を発揮したのはTJ・ペレナラ選手。前半から体を張った守備で相手のトライチャンスを阻止する一方、鋭い読みで攻撃を仕掛けて好機を演出し、攻守でチームをけん引した。

 それでも、一週間前のヤマハ発動機戦での勝利で自信を深めた様子のリコーが食い下がり、試合残り時間5分でSOアイザック・ルーカス選手が抜け出して、途中出場の高橋敏也選手のトライにつなげ、マット・マッガーン選手のコンバージョンで17-17に追いついた。

 しかし、試合終了間際に相手ボールを奪ったドコモは素早く左へ展開。マピンピ選手が抜け出してFBトム・マーシャル選手へつなぎ、パスを受けたペレナラ選手が左サイドを走ってトライを決め、強い寒風が吹くなかで試合を見守ったスタンドのファンの歓声を浴びた。

ペレナラ選手はデビュー戦となった開幕戦から3戦連続先発出場で、これが4本目のトライ。貴重な決勝点となり、ドコモは22-17で勝利。ニュージーランド代表69キャップを誇る29歳が、この試合でも存在感を示してチームの3連勝に貢献した。

待ち望んだ試合

 試合後、マピンピ選手は「デビューできてうれしい。コロナ禍もあって、去年からずっと試合を待っていたけど、ようやくチャンスを得て、トライもできて試合に勝てて、本当にうれしい」と喜んだ。

勝利を決めたペレナラ選手のトライ場面について、「トム(・マーシャル)が指示を出してくれて僕はそれに従っただけだが、コミュニケーションが良かったことが、いいプレーにつながった」と語った。

 開幕から出場を待ち続けた2週間についても、「試合にはもちろん出たかったが、戦術や選手の組み合わせなどチームの事情もあるし、いつか出場のチャンスが来ることも分かっていた。チームファーストで前向きに捉えて準備していた」と振り返った。

ドコモは次節、ホワイトカンファレンス首位のパナソニック・ワイルドナイツと対戦する。過去はリーグ下位に甘んじることが多かったドコモに対して、パナソニックはこれまで4度のリーグ制覇の経験があり、日本代表メンバーも多い。この日もキヤノンイーグルスに47-0と完封勝ちした。

キヤノン、NECグリーンロケッツ、リコーと勝ち進んできたドコモだが、今季一番の強敵だが、マピンピ選手は、「対戦相手がビッグチームということは知っているが、相手がどこでも準備でやることは変わらない。どういうプレーができるか、しっかり分析して臨むだけ」と淡々と語った。

クルーデン選手もTLデビューで勝利

一方、神戸製鋼コベルコスティーラーズに今季加入した元ニュージーランド代表アーロン・クルーデン選手が、日野レッドドルフィンズ戦の後半から出場してトップリーグでデビュー。オールブラックスで50キャップを獲得した30歳の司令塔は、4本中3本のコンバージョンを成功させ、チームは52-7の圧勝で3連勝。ホワイトカンファレンス2位につけている。

また、今季限りで現役引退を表明している元日本代表でヤマハ発動機ジュビロのFB五郎丸歩選手が、6日のNEC戦に初先発で今季初出場し、後半35分に交代で退くまでに、トライ1本と5本のコンバージョンで15得点をマーク。WTBマロ・ツイタマ選手とHO江口晃平選手がそれぞれ2トライずつを決めて、チームは59-31で勝利して今季2勝目を挙げた。五郎丸選手はこの試合のマン・オブザ・マッチに選ばれた。

 なお、レッドカンファレンスではサントリーサンゴリアスが11トライの猛攻で宗像サニックスブルースに75-10で大勝し、首位をキープした。フル出場したニュージーランド代表SOボーデン・バレット選手は10本のコンバージョンを成功させて、FLツイヘンドリック選手とNO8テビタ・タタフ選手がトライを2本ずつ決めている。

 クボタスピアーズも好調を維持。NTTコミュニケーションズ・シャイニングアークスに34-24で競り勝ち、3連勝で2位に付けた。WTBタウモハバイホネディ選手は後半32分に退場となったものの、それまでに3トライをマークした。シャイニングアークスはこれが今季初黒星となった。トヨタ自動車ヴェルブリッツは、ホンダヒートに45-3で圧勝し、3連勝でサントリー、クボタを追っている。