新型コロナウィルス感染の世界的拡大を受けて2020年から2021年に開催が延期になった東京オリンピックの7月23日の開幕まで、あと半年。日本国内の感染再拡大を受けて現在、11の都府県に緊急事態宣言が出されており、感染収束の兆しはなかなか見えないが、開催国として五輪出場が決まっている女子セブンズ日本代表候補は、新たに就任したハレ・マキリ新ヘッドコーチの下で1月18日から国内合宿を行い、大会への準備を進めている。

 「(大会が)あると信じてやるしかない。目標は変わらない」と話すのは、オリンピック代表候補メンバーの黒木里帆選手だ。

 1月23日の練習後にオンラインで取材に応じた宮崎出身の22歳は、「メダルを獲るためにできることは練習しかない。目標に向かってやるだけ」と前を向く。

黒木選手の代表デビューは、15人制の方が先だった。2017年女子ラグビーワールドカップ・アイルランド大会では4試合に出場し、第3戦のオーストラリア戦では1トライを決めた。

その後は7人制へシフトし、2018年夏のアジア競技大会でサクラセブンズとして7人制日本代表デビューを飾ると、同年のアジアラグビーセブンズや、日本がゲスト出場した2019年のHSBCワールドラグビー女子セブンズシリーズにも出場した。

だが、2019年12月にドバイで行われたワールドシリーズの大会で負傷。「去年の今頃は怪我で入院していて、『絶対に復帰してオリンピックに出てやる』と思っていたが、誰にも会えず自分との闘いだった」と振り返る。

「今はみんなとラグビーができて、みんなと一緒に目標に向かってやれている」と話し、今春大学を卒業予定の黒木選手は、大会延期の期間を活かして、怪我から復帰後の自身のプレーを磨いている。

 昨年11月には、熊谷で行われた女子セブンズ日本代表候補選手同士による紅白戦形式のセレクションマッチ2試合に出場。約1年ぶりの実戦だったが、1試合目にはオープニングトライを決めた。

 その後、チームは12月に就任が発表された、ニュージーランド出身のマキリ新ヘッドコーチ体制に変更。年明けの8-12日には新体制での初合宿を実施し、2度目となる今回は18日から2週間弱の予定で合宿を行っている。

黒木選手は、新指揮官からは体の動かし方や足の運び方、相手の追い方など「今まで意識しなかった細かいところ」について助言を得ているといい、「わかりやすい」と新たな刺激を得ている。

コロナ禍が続き、国際試合の予定が見えない状況だが、練習ではゲーム形式で海外選手との対戦を想定した状況を作った練習を実施。10位に終わった2016年リオデジャネイロっ大会から今夏の東京でのメダル獲得へ、「世界と戦うためには世界基準の努力が必要」というマキリ新ヘッドコーチの下で、「常に世界を意識した練習をしている」と黒木選手は言う。

まずは、その舞台に立つためには五輪代表スコッド入りを勝ち取らなくてはならない。

だが、「自分の強みは縦へのプレー」という黒木選手はその競争にも「自分の強みを伸ばして勝負する」とキッパリ。強気の姿勢で臨むつもりだ。

オリンピックではバックスとしてその強みを活かした突破で「1試合に2回はビックゲインする」ことを目標にしていると明かし、プレーのイメージを膨らませている。

 東京オリンピックでの女子7人制ラグビー競技は、7月26~28日の男子7人制ラグビー競技に続いて、7月29~31日の日程で東京スタジアムにて行われる。