1年延期された東京オリンピックの開幕まで7カ月となって、サクラセブンズこと、女子セブンズ日本代表を、元日本代表で男子セブンズ日本代表のアシスタントコーチを務めてきたハレ・マキリ氏が率いることになった。
前任の稲田仁氏は、パフォーマンスマネージャーとしてチームに残り、パフォーマンスマネージャーとして強化に携わる。
日本協会の本城和彦7人制日本代表チームディレクターは、稲田氏がサクラセブンズを2018年アジア大会で金メダルを獲得に導いた実績や選手発掘の能力を評価したものの、HSBCワールドラグビー女子セブンズシリーズで結果を出せていない点に言及。「メダル争いの土俵に上がれていない。フィジカル、スキル、マインドセット、すべてのスタンダードをもう一段地力を上げて、勝つ術を選手に落とし込む必要がある」と説明した。
その一方で、オリンピックの延期で「時間的猶予をもらい、チーム力を高めるために少し変化を与える手法もあると判断した」と話した。
また、本大会まで7カ月という時期での交代については、選手へのコロナ禍の影響を考慮して精神面のケアを優先させてきたと話し、チーム活動を10月から再開させて年内の合宿も終了。1月の再開までに選手が「リフレッシュする期間がある。このタイミングが最適で最後」と説明した。
マキリ氏はニュージーランド出身の42歳。スーパー12のチーフスやマオリ・オールブラックスでのプレー経験もあり、2002年に来日後、当時関西社会人リーグ所属の鐘淵化学に所属。翌年、福岡サニックス(現・宗像サニックス)に移り、2013年までプレーした。その間、2005年には15人戦日本代表にも選出され、26キャップを保持する。
現役引退後は、宗像サニックスでFWコーチを経て2017年から男子セブンズ日本代表アシスタントコーチを務めてきた。
マキリ新ヘッドコーチは、男子セブンズ日本代表を指導する間に女子チームも携わる機会があったと言い、「女子のポテンシャルの高さは素晴らしい」と指摘。「オリンピックまで8カ月。ハードワークで臨み、賢く仕事をする必要がある。そのために選手にベストの環境を提供するようにしたい」と話す。
さらに、「私はゼロから信頼とリスペクトを得なければならない。大きな挑戦だがとてもエキサイティングだ」と意気込んだ。年明け1月8日からチームに合流して指揮を執る予定だ。
明大の石田選手、学生で唯一3次スコッド入り
一方、男子セブンズ日本代表は岩渕健輔ヘッドコーチの続投が確認され、第3次オリンピック候補スコッドが発表になった。
20人のリストには藤田慶和選手(パナソニック)、松井千士選手(キヤノン)、副島亀里ララボウラティアナラ選手(コカ・コーラ)などが順当に選ばれ、石田吉平選手(明治大学)が学生でただ一人、候補入りした。
岩渕ヘッドコーチは、「オリンピックまで一緒にやっていくメンバーになる。強化して、チームの目標を達成するようにもっていきたい」と話したが、最終メンバー確定の絞り込みまでに、最後まで選手が競争するような取り組みを考えるとしている。
チームは今後、1月から国内で合宿を重ね、3月にはコロナ禍の状況次第で海外遠征を実施し、「オリンピックまでに5大会に出場してチーム強化を図りたい」(岩渕ヘッドコーチ)としている。
男子の場合、五輪候補スコッドの選手はセブンズ専任選手として来年1月16日から始まるジャパントップリーグではプレーせず、彼らの所属チームには試合エントリーなどに特別措置が適用される。そのため、今回の発表となった。
しかし、女子にはそのような事情はなく、「必要がない」(本城チームディレクター)として今回の第3次候補スコッド発表は見送られた。現在のところ、トレーニングメンバーを含めて26人が五輪代表候補枠に入っている。
男子セブンズ日本代表第3次オリンピックスコッド:
石田吉平(明治大学)
小澤 大(トヨタ自動車/日本ラグビー協会)
加納遼大(明治安田生命)
合谷和弘(クボタ/日本ラグビー協会)
坂井克行(豊田自動織機)
セル ジョゼ(近鉄/日本ラグビー協会)
副島亀里ララボウラティアナラ(コカ・コーラ)
津岡翔太朗(コカ・コーラ)
トゥキリ ロテ(近鉄/日本ラグビー協会)
中川和真(キヤノン)
野口宜裕(セコム)
羽野一志(NTTコミュニケーションズ)
林 大成(日本ラグビー協会)
彦坂匡克(トヨタ自動車)
藤田慶和(パナソニック/日本ラグビー協会)
ヘンリー ブラッキン(NTTコミュニケーションズ/日本ラグビー協会)
ボーク コリン雷神(リコー/日本ラグビー協会)
松井千士(キヤノン/日本ラグビー協会)
本村直樹(ホンダ)
ジョセファ・リリダム(NTTドコモ/日本ラグビー協会)