岩淵ヘッドコーチは、日本協会公式YouTubeチャンネルのJAPAN RUGBY TVで5月9日に始まったトーク番組に初回ゲストとして登場。パーソナリティの問いかけに答える形で話が進んだ。

 新型コロナウィルス感染の世界的流行を受けて、ラグビーを含めた様々なスポーツでリーグ戦や大会に中断や中止の影響が及び、今年7月に開幕予定だった東京オリンピック競技大会も1年延期が決定している。

HSBCワールドラグビーセブンズシリーズ2020へゲスト参戦を続けるなど、東京五輪へ向けてチームの強化を図っていた男子セブンズ日本代表は、3月の国内合宿中にオリンピック延期決定を知り、岩淵ヘッドコーチはチーム内に小さくない動揺があったと明かした。

指揮官は、今夏開催の五輪に向けて練習に励んでいた選手たちは「非常に難しい」状態だったと振り返ったが、その後は「次へ向けて、いい形で準備してくれている」とした。

現在は週1回のペースで全体ミーティングを行い、メディカルやS&Cなどを含めたコーチングスタッフを中心に、選手のトレーニングや健康状態のマネジメントを行っている。

 延期された東京2020大会は、日程的には延期前と基本的に同じスケジュールに沿う形で2021年7月23日開幕~8月8日閉幕に決まった。

この1年間の延期について岩淵ヘッドコーチは、「私が指揮を取ってからまだ世界で大きな結果を出せていない。そういう意味で、準備期間が延びることで大会を多くできるのであれば、選手にとってもチームにとってもプラスになると思う」と語り、前向きに受け止めている。

負傷明けの選手にとっては十分なリカバリーが期待できるメリットもあるが、「今やらせたい選手もいる」と個人差もあるため、選手のコンディショニングは一筋縄ではいかない「難しさがある」と説明した。

とはいえ、男子7人制日本代表指揮官は、選手たちは感染収束後へ向けて「準備しておきたいと、選手みんなが気持ちを前向きに取り組んでくれている」と話した。

 

15人制日本代表戦、今夏は「難しい」

 岩淵ヘッドコーチは、日本ラグビー協会の専務理事としての役割も担っており、対応すべき事案は少なくない。その一つが15人制日本代表の今夏のテストシリーズだ。

昨年のラグビーワールドカップ以降初めての代表戦が、6月27日(土)に静岡でウェールズ代表、7月4日(土)に大分、同11日(土)に神戸でイングランド代表と予定されている。しかし、日本では現在、新型コロナウィルス感染状況を受けて緊急事態宣言が5月末まで延長されたばかり。あらゆるカテゴリーで活動休止が続いており、テストマッチの実施は不透明だ。

実施見通しについて問われると、岩淵専務理事は「状況としては非常に難しい」と語った。

 ワールドラグビーをはじめ、各国協会と頻繁にやり取りをしていることを明かした上で、 各国とも感染拡大防止策として入国後14日間の自主隔離を実施している点を挙げて、「国際的な移動を伴う試合が難しくなっている。日本代表も今、移動する場合には(2週間の)隔離をしてからになる」として、国際的な移動の難しさを指摘した。

 一方で、日本代表のジェイミー・ジョセフヘッドコーチとは毎週連絡を取り、「『こうなったら、こう』と、いろんな計画を立てている。先が読めないので、その時にどの計画にするか」と、日本代表指揮官と検討を重ねていることを明かした。

 岩淵専務理事は、「昨年のラグビーワールドカップでたくさんの声援をいただいた。これからという時にこういう状況になったが、活動できるようになった時に良いスタートが切れるようにしないといけない」と話した。

 また、ニュージーランドやオーストラリアでは7月から再開の動きがあることに触れて、日本での再開には医学的な知見が不可欠という認識を示しつつ、岩淵専務理事は「地域によっても違うが、日本でもそういう時のために準備しないとならない」と語った。