ジュニアジャパンが有言実行を果たした。

 試合前に突然の雷雨に見舞われたスバのANZスタジアムは、最終戦キックオフを前に雲が晴れて陽射しが差し込むまでに回復したが、気温は高く、蒸し暑さも増した中での対戦になった。

互いに2連勝で迎え、昨年まで常に後塵を拝していたフィジー・ウォリアーズに対して、ジュニアジャパンはトレードマークの攻撃的ラグビーだけでなく、相手の攻撃を止める粘り強い守備も披露して、念願の優勝を手に入れた。

 試合開始早々に自陣深い位置でのラインアウトからつながれて、最後はCTB Epeli Momo選手に守備のギャップを突かれてインゴールに飛び込まれて先制を許し、コンバージョンも決められて7点ビハインドになった。

 しかし、日本は3分後に丸山凛太朗選手(東海大学)のPGで点差を縮め、17分には相手のペナルティで得たスクラムから、今大会初先発のSH藤原忍選手(天理大学)がWTB木田晴斗選手(立命館大学)にパスを送り、木田選手が2戦連続での先制トライを決めて8-7と逆転に成功。日本はFWの強さを活かして相手にプレッシャーをかけ、21分にはPGでリードを広げた。

 フィジーは日本の守備を前になかなか足を活かした突破ができず、ハンドリングエラーやペナルティが増加。30分過ぎにはMomo選手が危険なプレーでイエローカードを受けて一人少ない状態になる。

 この間に日本は優勢に試合を進めながらも相手のプレッシャーを受けてのボールロストや、ラインアウトでのミスなどが続いて追加点には至らない。それでも前半終了間際にフィジーのPR Joseva Nasaroa選手にイエローカードが出されると、丸山選手が3本目のPGを決めて前半を14-7で折り返した。

 ここまで大会4連覇中のフィジーは後半に入っても数的不利な状況が続く中、46分に自陣深い位置でのスクラムからSH Simione Kuruvoli選手が持ち出してブレーク。さらにSO Tuidraki Samusamuvo選手にパスをつなぐと、司令塔を務めるキャプテンはそのままフィールドを走り抜けてトライ。フィジーが12-14と2点差に詰めた。

しかし、日本もすぐに反応。3分後にゴール前のラインアウトを起点に攻撃。ラックから藤原選手、CTB李承信選手(帝京大学)、丸山選手とつなぎ、最後は木田選手が左隅に飛び込んでトライ。丸山選手がコンバージョンを成功させて21-12と再びリードを広げた。

その後、反撃を試みるフィジーだったがミスも多く、粘り強くタックルを仕掛ける日本を振り切れない。さらに64分にはCTB Filimoni Savou選手がこの日のチーム3枚目となるイエローカードを受けて一時退場になった。

日本も攻め込んでハンドリングミスや反則を取られる場面が続いて追加点には届かなかったが、最後まで守備を徹底してリードを守り切った。

この結果、ジュニアジャパンは3戦全勝で勝点を14に伸ばして優勝。2位は2勝1敗のフィジー・ウォリアーズ(勝点10)、3位はこの日の第1試合でサモアAに36-10で勝利したトンガA(勝点5)。サモアは3戦全敗となり4位だった。

ジュニアジャパン主将「勝利できると信じていた」

フィジー・ウォリアーズのSamusamuvodre選手は、「望んでいた結果ではないが、選手はみんなとても努力した。ボールを失いすぎたこと、ミスが多すぎたことが敗因だ」と肩を落とした。

一方、ジュニアジャパンの李選手は、「前の2試合に比べて気温が高く、蒸し暑い状況で、個々のレベルとフィジカルで勢いのあるフィジー・ウォリアーズを相手につらい時間帯が多くあったが、どんな状況でもプレーし続けたことが結果につながった」と振り返った。

ジュニアジャパン主将は、「トンガ戦、サモア戦で自分たちのペースでいいラグビーができていたので、自分たちのラグビーができたら必ず勝利できると信じていた」と明かし、「東京の合宿から始まって、チームの選手だけでなく、スタッフ含めて全員でワンチームを作れて、自分たちのラグビーをすることができた」と胸を張った。

昨年からジュニアジャパンの指揮を執る水間良武監督にとっては、1年目の2位に次いで2年目での成果。今年6月に予定されているU20チャンピオンシップへのチーム強化を念頭にU20年代の選手の多い編成での参戦で、次への足掛かりを得た。

水間監督は、「最初から攻め続けてプレッシャーをかけ続けること、何度もタックルして起き上がり、抜かれてもあきらめずに追いかけて守り続けることを選手たちは意識した。そこに、基本スキルの徹底を加えたジュニアジャパンのラグビーを体現してくれた」と選手たちのプレーを評価する。

さらにジュニアジャパン指揮官は、「競争しながらも助け合い、学び成長する意識を持ち、成功体験を得ながら自信をつけて一つのチーム、仲間、ファミリーになることができた」と話し、「帰国後はU20チャンピオンシップへ向けて、求める結果のための準備をしていく」として、すでに次の目標へ気持ちを切り替えていた。

トンガが今大会初勝利

 この日の第1試合のトンガ対サモア戦では、サモアが開始5分でSO Fale選手のPGで先制したが、トンガが20分にNO8 Petelo Pouhila 選手のトライで逆転。10分後にFL Finepolo Maafu 選手も5点を加えるなどで前半を14-3で折り返した。

 後半も58分にPouhila選手が2歩目のトライを決め、SO Patelesio Oneone選手が3本目のコンバージョンとPGを成功させて24-3とリードを広げた。その後、Pouhila選手がイエローカードを受けて数的不利になり、同時にサモアにペナルティトライを与えて10-24とされたが、トンガは終盤にViliami Makaafi選手とPouhila選手の3本目のトライで加点し、36-10で勝利した。

 「勝ってとてもうれしい」と笑顔を見せるトンガ司令塔の Oneone選手は、「タフな試合だったけど、トンガチームは勝利を目指して戦った。大会後、国に戻ったら来年に向けてもっともっと練習してトレーニングを重ねて準備したい」と話した。

 敗れたサモアのNO8 Joseph Faleafaga選手は「大会で優勝するつもりでいたのに、そうできなくて悲しい。ライバル同士の2チームの対戦で、予想はしていたがとてもタフな試合だった。でも、このチームにはU20年代の選手がたくさんいて、今大会で多くを学べたことはプラスだ。このレッスンを活かして、将来へ伸ばしていきたい」と語った。

Photos: Zoomfiji