アサヒスーパードライ・パシフィックネーションズカップ2024の数字だけを見ると、フィジーは6度目のタイトルを楽々手にしたように見えるかもしれません。
「フライングフィジアンズ」は4試合で155得点を挙げ、失点はわずか55点でした。最も接戦だった試合は、22-3で勝利したアメリカ戦で、唯一トライ数が5つ未満だったのもこの試合だけです。
しかし、この驚異的な数字の背景では、フィジーが新ヘッドコーチのMick Byrneの下で、2018年以来初となるパシフィックネーションズカップの優勝へと突き進む中で試される場面が多々ありました。
フィジーは、Byrneの初戦で6月にバーバリアンズに敗北し、奮起の兆しとなった翌月のジョージア戦での勝利の後、ニュージーランドに47-5で大敗し、チームの士気は大きく低下しました。
There's nothing better than that winning feeling 😍#PacificNationsCup | #FIJvJPN | @fijirugby pic.twitter.com/gpszY5tjTI
— World Rugby (@WorldRugby) September 21, 2024
元オールブラックスのスキルコーチであり、オーストラリアのアシスタントコーチも務めたByrneは、その試合後「厳しい夜だった」とコメントしました。
パシフィックネーションズカップでは経験豊富な選手を欠いていたため、ここ数試合での敗北が今大会にも影響を与えるのではないかという懸念がありました。
しかし、開幕戦でサモアが前半を16-15でリードしてHFCバンク・スタジアムのロッカールームに入った時も、ホームチームに焦りはありませんでした。
やがてフィジーは後半に入ると4トライを挙げ、Kitione Salawa が2トライを決めてハットトリックを達成し、サモアの攻撃を封じ込めて42-16で勝利を収めました。
この開幕戦がフィジーの試合展開の流れを作ることになり、その後のプールAトンガ戦でも序盤で19-19に追いつかれる展開や、準決勝でのアメリカ戦でも先制点を許す試練に直面しました。
どちらの場面でも、新キャプテンのTevita Ikanivere 率いるフィジーの若きスターたちは挑戦に応じて、結果を出しました。
その過程で、新星のIsoa Nasilasila 、Elia Canakaivata 、Vuate Karawalevu に注目が集まり、チームの自信が高まります。
先週土曜日に花園ラグビー場で行われた決勝戦では、日本のセンターであるディラン・ライリーが鮮やかな個人技トライを見せ、フィジーの前にまた新たな試練が訪れました。
ライリーの見事なプレーにより、ブレイブブロッサムズは10-3とリードしましたが、フィジーは前半で同点に追いつき、後半16分間で4トライを挙げ、試合を決定づけました。
試合後、Byrneは「最初の20分間が戦いになること、そして日本代表のスピードが大きな試練になることは分かっていました。私たちは序盤を耐える必要がありました。そこで、しっかりとハードワークし、プレッシャーをかけたことによって、後半の試合展開を作ることができたと思います。」と試合を振り返りました。
試合の流れを決定づけたのは、フィジーが20-10でリードしている時点での出来事でした。
フィジーが自陣深くでディフェンスしていた際、スタンドオフのCaleb Muntz が見事な50/22キックを放ち、チームを前に押し出すと、その後3本目のトライが生まれました。
「彼があの瞬間をものにして、流れを変えたのは本当に素晴らしかった。日本はあそこから挽回することはできませんでしたね。」とIkanivere は称賛しました。
6度目のタイトルの重要性について、フィジーのキャプテンはこう語りました。
「若いチームにとっては大きな成長となりました。キャプテンに指名された時は驚きましたが、コーチ陣が信じてくれたことに感謝していますし、チームメイトにも感謝しています。このチームの絆は素晴らしいもので、11月のツアーや次のワールドカップに向けてこの勢いを継続していきたいです。」
フィジーのパシフィックネーションズカップでの活躍により、ワールドラグビーの男子ランキングではウェールズやオーストラリアを上回り、順位を9位に押し上げました。
この5週間で証明されたことがあるとすれば、それは不屈の精神に満ちたフィジーが将来有望であるということです。もし彼らが、80分間の一貫したパフォーマンスを発揮することができれば、世界を驚かせることになるでしょう。