今季から導入されたレギュラーシーズン総合トップ8チームによるグランドファイナルは2024年シーズンの最後を飾るにふさわしい激戦とドラマに溢れる大会となった。男子フランスは19年ぶりのタイトル獲得で、女子オーストラリアとともにSVNS王者として7月のパリ・オリンピックに臨むことになった。

今季レギュラーシーズンを総合5位で終えてグランドファイナルに出場したフランスは、オーストラリア、アルゼンチン、英国とのプールAを2勝1敗の2位で突破。準決勝でプールB首位突破のフィジーと対戦して、シーソーゲームの対戦をJefferson-Lee Josephの試合終了直前のトライで制して決勝へ進出した。

一方、レギュラーシーズン初制覇でグランドファイナルに進んだアルゼンチンは、今大会でも好調を維持。フランス戦の勝利(26-12)を含めて3戦全勝でプール戦を1位で勝ち抜くと、準決勝ではニュージーランドにMatteo GrazianoのハットトリックとJoaquin Pellandiniのコンバージョン3本で21-14と勝利して、決勝へ駒を進めた。

激しい競り合いとなった決勝で先手を取ったのはアルゼンチン。前半6分にLuciano Gonzalezが先制したが、その2分後にStephen Parez Edo Martinがトライを決めて同点とし、Rayan Rebbadjのコンバージョンが成功してハーフタイムを前に逆転に成功した。

後半に入るとフランスはAntoine Dupontがベンチからピッチに入り、フランスが攻守にギアを上げた。

アルゼンチンはRodrigo Isgroが後半早々にイエローカードを受けて一時退場となり、激しい守備でフランスの追加トライ阻止を試みる。だが、フランスは数的優位を活かしてワイドに展開し、Jefferson-Lee Josephがトライ。Jean Pascal Barraqueが2点を加えてリードを広げるた。

さらに、13分には22メートル内でのブレイクダウンからDupontがショートサイドに抜け出して中へ折り返し、これをPaulin Rivaが受けてインゴールに飛び込み、19-5とした。

試合終盤、アルゼンチンはペナルティからAgustin Fragaがゴールで押さえてトライかと思われたが、その前段のプレーで危険なタックルをしたIsgroが一発レッドで退場となり、トライはノーカウントとなり、万事休した。

フランスのRiva主将は、「みんなのハードワークの成果。このチームをとても誇りに思う。特に若手は素晴らしかった」と話し、チームの守備が良かったと指摘した。

パリ・オリンピックでの金メダル獲得を目指して、今年1月、15人制からセブンズ代表に合流し、今大会でもインパクトを与えたDupontについては、キャプテンは「彼は世界最高の選手。彼がピッチにいると、僕らには大きな自信になる。今日もみんな、とても喜んでいる」と話した。

男子の3位はオリンピック2連覇でレギュラーシーズン6位のフィジーが、同3位のニュージーランドに17-10で勝利。Waisea Nacuqu、Ponepati Loganimasi、Iowane Tebaがトライを決め、ニュージーランドをMoses Leo、Dylan Collierの2トライに抑えた。

女子オーストラリア、Leviが決勝でハットトリック

女子の決勝ではオーストラリアがフランスと対戦。Maddison Leviのハットトリックなどで26-7の勝利を収めて、昨年12月のケープタウン大会以来の優勝で頂点に立った。

開幕戦のドバイ大会とケープタウン大会での連勝を含めて、今季レギュラーシーズン7大会中5大会で決勝に進出したオーストラリアは、マドリードでも存在感を披露した。

フランス、アイルランド、フィジーと同組のプールBを3戦全勝で突破。準決勝ではニュージーランドに21-19で競り勝って決勝に進出。Leviが終了直前にトライを決め、Tia Hindsがこの試合3本目を成功させて、ライバルを振り切った。

フランスはプール戦でオーストラリアに14-28で敗れて2勝1敗の2位でプール戦を通過し、準決勝で対戦したカナダを19-17で退けて決勝に進んでいた。

オーストラリアはFaith Nathanの前半3分のトライで先制。3分後にフランスのYolaine Yengoに5点を返されて、7-7で前半を折り返した。

しかし後半開始早々、Leviが均衡を破るトライを決めると、12分、14分にも決めてチームのリードを広げ、Tia Hindsが3本のコンバージョンを成功させてフランスを振り切った。

Leviは、「ハードワークがようやく報われてよかった。オリンピックまで日も近く、チームづくりは最終段階にある。ニュージーランドとはいつもタフな戦いになるけど、ようやく噛み合ってきた」とコメント。

「セブンズは目まぐるしく展開するジェットコースターのようなところがあり、アスリートとして常にピークでいることはできないが、コーチ陣を信頼しているし、彼らとやってきたことがフィールドで出ていると思う」と語った。

なお、3位はニュージーランド。銅メダルマッチでカナダに26-14で勝利を収めた。

今季新人賞にフランスのDupontと カナダのNorsten

今季のセブンズシリーズにデビューして強烈なインパクトを与えた選手に贈られる年間最優秀新人賞に、男子はフランスのAntoine Dupontが選ばれた。

15人制での活躍で知られるDupontは今季バンクーバー大会からセブンズに出場し、出場した大会で3つのメダル獲得に貢献した。

「正直なところ、(セブンズで)最初の大会の前は少し心配もあったので、バンクーバーとロサンゼルスの大会へ向けて必至にハードワークをした。でも、チームのスピリットがとてもよくて、合流するのは簡単だった」とDupont。

7月24日に自国で始まるオリンピックについては、「僕らにとって非常に大きな大会になることを願っている。もちろん、勝ちたいと思っているが、そう思っているのは僕らだけじゃない。ここから2ヶ月あるので、ハードワークをして備え、7月の大会でトロフィーを掲げたい」と意気込んだ。

なお、女子はカナダのCarissa Norstenが今季の新人賞を獲得した。

2024シーズン冒頭から安定してスキルとスピードを披露して、注目を集める存在になった20歳は、今後の女子7人制カナダ代表で大きな役割を果たすと見込まれている。

Levi、2年連続でトライ記録を更新

今季の最多トライ得点者に送られるGilbertトップトライ得点賞には、男子はアイルランドのTerry Kennedy が8大会で32トライを決めて獲得。女子は、22歳ながら今季で3シーズン目の出場だったオーストラリアのMaddison Leviが受賞した。

Leviは65トライで新記録を樹立。昨年、自身が記録した57トライを塗り替えて2年連続での新記録達成となった。

SVNS 2024シーズンが終わり、注目は7月開幕のパリ・オリンピックへシフトする。男女とも12チーム中11チームの出場が確定しており、最後の1枠は6月21-23日にモナコで開催される予選敗者復活戦で決定する。

なお、HSBC SVNS 2025のスケジュールはオリンピック終了後に確定する。