例年、観客の熱い応援が素晴らしい雰囲気を作り出すことで有名な香港セブンズ。今回シリーズ終盤の第6ラウンドにあたり、3日間で観客12万人の動員が見込まれており、その観客の熱い声援の前で世界トップの男女12チームが対戦する。

女子はオーストラリアがシリーズ総合トップに立ち、ニュージーランド、フランス、アメリカ、カナダが追う展開で、シリーズ最終ラウンドの5月3-5日のシンガポール大会を前に、オーストラリアとニュージーランドの2強が戦いをリードしている。

一方、男子はアルゼンチンが2位以下に勝ち点20点差をつけており、結果次第では今回の香港でレギュラーシーズンのリーグ優勝を決める可能性がある。

また、オーストラリア15人制で最多キャップ保持者の一人であるMichael Hooperが今大会でセブンズ競技デビューを飾る見込みだが、フランス代表をけん引するスター選手、Antoine Dupontは今大会のスコッドからは外れている。

プール組み合わせ抽選は第5ラウンドのロサンゼルスで行われ、フィジー7人制レジェンドのWaisale Sereviが担当したが、興味深い対戦が目白押しだ。

男子の組み合わせは、プールAでパリ・オリンピックを控えるフランスがオリンピック連覇中のフィジーとの対戦をはじめ、オーストラリア、カナダと対戦。プールBでは今季シリーズでトップを走るアルゼンチンがロサンゼルス大会で決勝に進出した英国、アメリカ、昨季シリーズ覇者のニュージーランドと同組だ。プールCではアイルランド、スペイン、サモア、南アフリカが対戦する。

女子は、現在シリーズ2位につけるニュージーランドと3位のフランスがブラジル、英国と同じプールAに入り、今季シリーズ首位に立つオーストラリアは南アフリカ、アイルランド、フィジーとプールBで対戦する。また、アメリカ、カナダは日本、スペインと同じプールCという組み合わせだ。

男子アルゼンチン主将、「一試合一試合にフォーカス」

HSBC SVNS 2024は今季から男女とも同一ステージを転戦する新なシステムで実施。レギュラーシーズン全7ラウンドをドバイを皮切りに、ケープタウン、パース、バンクーバー、ロサンゼルス、香港、シンガポールを転戦し、最後に5月31日-6月2日にマドリードでグランドファイナルを迎える。

男女とも7ラウンドを通して手にする勝ち点でSVNS 2024リーグ勝者を決定。さらにシリーズ通算ランキングの上位8チームは新設されたグランドファイナルへ進出し、SVNSチャンピオンを決定する戦いに臨む。

ここまでの戦いで男子はアルゼンチン、女子はオーストラリア、ニュージーランド、フランスのグランドファイナル進出を決めているが、残るチームも今週末に決まる可能性が高い。

男子総合ランキングに立つアルゼンチンは第5ラウンドのロサンゼルス大会を経て勝ち点20差のリードを奪っている。開幕から4ラウンドで優勝3回、準優勝2回で現在の勝ち点は90。これを2位のアイルランドが勝ち点70、3位のフィジーが64で追っているが、フィジーは過去にも香港で好成績を残しており、今大会の展開に注目だ。

男子アルゼンチンのMatias Osadczuk主将は、「ロサンゼルス大会で負けたので、チームとして今大会への期待は大きい。今週末しっかり復活することが重要で、そのためにハードなトレーニングを積んできた」と言う。

レギュラーシーズン制覇も射程距離にあるが、アルゼンチン男子チーム主将は、「香港は歴史的にも雰囲気でも、とても特別な場所だ。ベストを尽くしたい。一試合一試合のプロセスにフォーカスして臨んで、ロサンゼルス大会よりも良い結果を出して、チームとしてより良くなっていることを目指したい」と語っている。

男子オーストラリアのMatto Gonzalesは、「香港はセブンズ・サーキットのメッカだ。ここでプレーするのはいつもすばらしいが、今回は我々にとってとても重要なラウンドだ。ファンにショーを見せたいとワクワクしている」と言う。

15人制の名手Michael Hooperの加入について、Gonzalesは「彼のラグビー経験は他の誰とも違うものだ。落ち着きがあって知識にもたけている。ただ、セブンズでは新人でやり方を学んでいるところだ。彼のような才能の持ち主がチームにいることも、彼がどのようにプロセスに取り組むのかを彼から学ぶことも、本当にエキサイティングだ」と話した。

女子は激しい上位争い

女子はオーストラリアが勝ち点90で首位に立ち、2位のニュージーランド(勝ち点86)。3位のフランス(74)と続く。オーストラリアは開幕ラウンドのドバイと次のケープタウンを制する好スタートを切ったが、バンクーバーとロサンゼルスの2大会ではニュージーランドが制してスリル満載の展開となっている。

女子ニュージーランド代表のRisi Pouri-Lane主将は、「私たちは安定したプレーをすることと、今季の最後にあるオリンピックへ向けたチームづくりに焦点を当てている。自分たちのゲームプランをしっかり遂行したいし、落ち着きを持って自分たちのゲームをプレーしたい。女子の競争力は上がっていると思うし、女子競技にとっては素晴らしいことだ。今週末の戦いを楽しみにしている」と語った。

なお、今回の香港セブンズではHSBC SVNS大会に加えて、アジアの「メルローズ・クレイモア」3か国対抗戦を実施。男子はホンコン・チャイナが中国、日本と、女子は中国、タイと対戦する。

一方、全7ラウンドを終えて総合ランキングで下位の男女各4チームは、ワールドラグビーHSBCセブンズチャレンジャー2024の上位4チームとともにマドリードで昇格・降格大会に臨む。これも、今季のHSBC SVNSシリーズをより競争の激しいものにしている。

降格プレーオフ圏内には現在のところ、男子はカナダ、スペイン、英国、サモア、女子は南アフリカ、日本、スペイン、ブラジルが入っている。