今大会の初勝利を目指して日本代表は6度の優勝経験のあるニュージーランドと南アフリカのステレンボッシュで対戦し、先制トライを奪うなど健闘を見せたが、19-62で敗れた。

 フランスとの初戦に大敗後、ウェールズ戦では敗れたものの少し積極性を取り戻していた日本は、攻守に果敢な姿勢を見せて試合開始5分でWTB今野椋平がトライ。CTB平翔太のコンバージョンも成功して7-0と先制に成功した。

 ニュージーランドもWTB Isaac Hutchinsonがゴールに飛び込んですぐに取り返したが、相手にプレッシャーをかけてしっかり競り合い、17分にはラインアウトからモールで押し込んでHO大木峻士がトライをマーク。日本が12-5とリードを奪った。

 しかし、前半半ばを過ぎると日本はほころびを突かれて失点。25分に自陣ゴール前でのスクラムで相手にプレッシャーをかけられて押し込まれ、密集でFL SAM Hainsworth-Fa’aofoが押さえて5点を返し、コンバージョンも成功して同点にされた。その直後にはWTB Macca Springerに抜け出されて17-12と逆転された。

 日本は徐々に反則が増え、与えたペナルティを起点に34分にSpringer、38分にはNO8 のMalachi Wramplingに加点され、前半終了直前にはスイッチパスに翻弄され、SO Taha Kemaraにトライとコンバージョンを決められた。

 今大会初戦でウェールズに1点差で競り勝ったものの、フランス戦を落としたニュージーランドは後半も攻め手を緩めず、後半7分にもKemaraが5点を加えて43-12とリードを広げた。

 日本も粘り強く戦い、相手陣内へ攻め込むチャンスもあったがラインアウトでのミスやペナルティで得点に持ち込むことができない。タックルも交わされる場面が増える。ニュージーランドは後半30分にSpringerが抜け出してハットトリックをマーク。その3分後にも途中出場のCooper Flandersがラインを超え、それぞれコンバージョンも決まって57-12と点差を広げた。

 それでも日本は後半34分にラインアウトからモールで押し込んで途中出場のHO長島幸汰がトライ。ベンチスタートのSO楢本幹志朗がコンバージョンも成功させて7点を返したが、後半終了目前にニュージーランドに1トライで5点を加えられ、19-62で敗れた。

 ゲームキャプテンを務めたCTB野中健吾は「負けてしまったが、前半はジャパンらしいディフェンスとアタックを見せることができた。それを継続して次に向かいたい」と前を向いた。日本は3戦全敗でプール4位となり、次の順位決定戦でプールC3位のアルゼンチンと対戦する。

 ニュージーランドのNoah Hotham主将は、「準決勝に行けなかったのはとても残念だ。後半ミスが多すぎた。気持ちが入り過ぎたのだと思う」と話した。

 ニュージーランドは2勝1敗で勝ち点を10としてプール2位に入ったが、プールBのイングランドに得失点差で敗れて総合2位に入れず、準決勝進出を逃した。

 ニュージーランドのClark Laidlaw監督は、大量得点での準決勝進出のチャンスを逃したことについて、「試合前にオーストラリアとイングランドが引き分けいたので、(得点すれば)チャンスがあることは分かっていたが、非常にいい試合をして相当得点をしないとならないことも分かっていた。70点近く挙げて、いくつか素晴らしいトライもあったが、後半に入って少しモメンタムが落ちてしまった」と述べた。

 先制トライを与えた日本についてニュージーランド主将は「彼らは前半の立ち上がりがとても良かった。質のあるチーム」と驚きを認めたが、指揮官は「日本はウェールズ戦でも前半リードを奪っていたし、ボールを持たせると素早い動きをすることも分かっていた。なので、彼らのプレーは驚きではなかったし、残念だったのはトライを許したことで我々はプレッシャーを受けることになった」と振り返った。

 一方、ロブ・ペニーU20日本代表ヘッドコーチは、「ニュージーランドはここぞという時に支配力を発揮して、練習でやったことをしっかりプレーしていたと思う。我々は守備が崩れる時があった」と話し、最後の15分で5トライを献上した点について「守備がまずかった。それまでは相手と競り合えていたが、突然タックルが決まらなくなって一気にやられてしまった。残念だ。タフなプール戦だったので、コンディションを整えて次へ臨みたい」と述べた。

 

フランス、数的不利もチーム総合力で勝利

 プールAのもう1試合では、フランスがウェールズを43-19で破って今大会唯一、3戦全勝でプール戦を終了。大会トップシードでの準決勝進出が決まった。ウェールズは1勝2敗で3位だった。

 フランスは10-0と先行後、前半14分にHO Barnabe Massaがイエローk-度からTMOバンカーでレッドカードとなる数的不利に見舞われたが、チーム総合力でウェールズを圧倒。プールA首位突破には引き分けでも十分だったが、6トライを奪う攻撃で勝利を掴んだ。

 前半半ばの19分、21分に立て続けに決めたトライが大きかった。Posolo Tuilagiが相手守備網の突破からSO Clement Mondinantが相手のタックルをかわしてトライ。さらに自陣からの攻めで、最後はSH Leo Carbonneauが5点を加えた。Mondinantは2本ともコンバージョンも成功させて、フランスが24-0とした。

 前半終了直前にウェールズのFL Seb Driscollにトライを許してコンバージョンの成功で7点を与えたが、フランスは後半も開始直後を含めて2本のトライを加えた。後半6分と32分にトライを許してウェールズに38-19とされたが優勢を維持。最後のWTB Mael Moustinのトライは試合終了目前で、第2列のBrent Liufauがイエローカードを受けて13人となった後だった。

 フランスの準決勝での相手はイングランド。イングランドはプールB初戦でアイルランドと34-34で引き分けたのに続いて、この日の第3戦でオーストラリアと22-22で引き分けたが、1勝1分1敗のオーストラリアを抑えてプール2位に入った。

 プールB首位突破へボーナスポイント付での勝利が必要なイングランドは7-0と先行したが、やはり、ボーナスポイント勝利で4強進出の望みをつなぎたいオーストラリアの激しい抵抗を受けて、2トライと2コンバージョンで追い上げられて、前半を14-17で折り返した。

 後半立ち上がりのトライとPGで逆転したものの、後半半ばにNO8 Chandler Cunningham-Southが危険なタックルでイエローカードを受けて、チームは前半33分に続いての数的不利になった。数的優位となったオーストラリアは途中出場したCTB Harry McLaughlin-Phillipsがトライを決めて同点に追い付いたが、勝利に必要だったコンバージョンを決めることができず22-22で終了した。

 

アイルランド、南アフリカが勝利

 プールBを1位で突破したのはアイルランド。フィジーに47-27で勝利して2勝1分けで終了し、準決勝ではプールC1位の南アフリカと対戦する。

 アイルランドは前半30分過ぎまでにNO8 Brian Gleesonが2トライ、HO Danny Sheahan とPR George Haddenが1トライずつを決めるなど4トライでボーナスポイント獲得を決めて、26-7のリードで前半を折り返した。

後半の序盤にフィジーは主将のMoti Murrayらが3トライを決めて22-26まで追い上げたが、アイルランドはそこから途中出場のGas McCarthyらが3トライを加えて40-22と突き放した。フィジーが後半終盤、イエローカードを受けて数的不利になると、直後に1トライと1コンバージョンを加えた。フィジーは試合終了間際に1トライを返したが、そこまでだった。

南アフリカはこの日の最終戦でアルゼンチンに24-16の逆転勝利を収めて、イタリアに30-17で勝ったジョージアと2勝1敗の勝ち点9で並んだが、直接対決の結果で南アフリカが上回った。僅差で初の4強入りを逃したジョージアだが、過去最高だった9位フィニッシュを上回ることになった。

南アフリカはアルゼンチンのValentino Dicapuaに3PGを決められて前半半ばまでに0-9ビハインドとなるが、そこから1トライとコンバージョンで2点差に詰めた。30分過ぎにLO JF van Heerdenがイエローカードを受けて10分間のシンビンとなった。アルゼンチンはその直後にPR Renzo Zanellaがトライを決め、コンバージョンも成功して16-7で前半を折り返した。

南アフリカは後半に入ってPGで点差を詰めると、後半終盤にCorne Beetsがトライ2本を決めてSO Jean Smithがコンバージョンを2本とも成功させて逆転した。

この結果、9日の準決勝は3連覇を狙うフランスと第2シードに入ったイングランド、今年のU20シックスネーションズ優勝のアイルランドと南アフリカの顔合わせとなった。また、順位決定戦では日本対アルゼンチン、ニュージーランド対オーストラリア、ジョージア対ウェールズ、イタリア対フィジーの対戦となった。